見えざる手
先週の金曜日あたりから気持ちの悪い雲がシベリヤから緩やかに降りてきた。冷たい寒冷低気圧の中心に何かの理由で水蒸気がはまってしまっている感じだ。周りの雲がジェットに流されていくのに、淀んだとろのように動かない。こんなのは見たことが無い。雲の高さは22000f t(6.7km)位だから、積乱雲のような高さはないが、ちょっと見た目、層雲のように見える割には高い。結局、北海道の西あたりまで降りてきてゆっくりばらけてしまった。日本に遅い寒波が来た。
しかし確実に春は雪崩をうって到来している。 世界をみわたすと北極をめぐる寒気の固まりがあちこちでちぎれるように南下して消えていこうとしている。
地球のゆらゆら揺れる頼りない大気のゆらぎが人間の日々の生活にそれなりの影響を及ぼしていく様、これが人間と物理的地球との会話ということなのだろう。
物理の方程式系で大気の流れは確実に記述できる。
昔、数値計算で遷音速の翼の周りの流れを計算していた。純粋な方程式と境界条件の連立方程式の繰り返しだけで、音速以下の流れが加速されて一部が音速を超え更に加速しその後ろに微妙な衝撃波ができてまた音速以下の流れに戻る、という複雑な流れがだんだんと生成されいく様に、何か神の手のようなものを感じたことがある。
単純な、純粋な関係の中に(こそ)、見えざる手は存在するのかもしれない。
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