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2006年8月29日 (火)

ねじまきどり

Koger04  ねじまきどり はコゲラのことだと思っている。ギー と鳴く。しかし住宅街にはいない。コゲラが本当にうちの庭の木の上でギーと鳴いたら、自分の周りの世界のネジが巻かれたと思うべきなんだろう。

村上春樹の世界はとても現実と思えないが時々もしかしてこれは何かの真実を描いているのではないかと思う時がある。カフカの世界は若い頃はとても現実と思えなかったが、今ではその描く内容の驚くべきリアリティはあのような小説の形を取るほか無かったのだと感じている。カフカは現実そのものを描こうとした様に思う。

村上春樹はとてもそんなこと考えているとは感じられないけれども、何処かにはその感覚が漂っている、それが魅力の元にあるような気がする。

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2006年8月27日 (日)

現実に流れる感覚

北関東に来てもう随分になるが、また九州へ時々いくようになって、やはり違う、と感じることが多い。

九州は海だ。海に繋がり、それが見果てぬ国へ連なる。魏志倭人伝の世界だ。山は低い、低い山でも対馬海流を渡る北西風を受け止めて、冬は重い雲が空をうめて暗い気持ちにさせる。耕されていないところが少ない。平地には林がない。どこにも人間の手が入れられる、しかし植物の生命力が強Midori い。勿論虫も強い。蝉も大きいし、ゴキブリもでかい。放置された空き地は、たちまち常緑広葉樹の森林に化する、直ぐに手を入れなければ自然に圧倒される。

北関東には開発途上の土地が多い。明治の昔から時の権力者が広大な牧場開拓地を開いて国力の増強に努めていた。ゆっくりしたペースで開拓していっても、たちまち野生化するという切迫感がないし、何だか雰囲気が違う。平地に林がある。山が高い。

九州の山は最高峰が屋久島の宮之浦岳だが2000mに届かない。高山の鳥は勿論望めない。しかし、海が心地よい。いい入り江がたくさんある、白砂の浜辺が普通にある。関東は浜が黒い。太平洋の波は柔らかくない。海に乗り出していく気がしてこない。
やはり海は九州だ。

ぼやけていた概念が、現実に流れる感覚の中で、明確な概念となってくる。文字に落として記号化したためではなく、それはそのものの存在の主張のように思えてしかたがない。

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2006年8月21日 (月)

ITの妖しい魅力

Kumoa060812 また飛行機に乗る、民間輸送機の客として。お盆だとさすがに満席だ。南行きで40000ft以上で飛行している。この日は全国的に500hp高度に寒気が入り、40000ftで間近に見える背の高い積乱雲が所々に出ている。滅多に見られない眺めだ。虹まで見える。雲の観察にはどうみても航空機で高空に上がるに限る。飛行中の旅客機Kumob060812の雲画像がリアルタイムでweb上で見られるようになれば、気象の現況判断や今後の予測に強力な様に思える。特にいわゆるテーパリングクラウドのような、集中豪雨をもたらす雲の生成は、リアルに見てみれば立体的動きが解り、理解を深めるのに強力だろう。衛星画像は個々の積乱雲をリアルには捉えられないし、立体的でもない。成層圏飛行船が上げられるようになるとこれも使えそうだでも当分は上がるまい、費用がかかりすぎる。運航中の旅客機からの画像をダウンリンクするのが最も手近に便利そうに思える。

しかし物事はそうはたやすくはない。
航空機からのブロードバンドのダウンリンクは、まずは衛星に頼ることになるがここにはなかなか面白いせめぎ合いがある。

航空機から衛星を使ったブロードバンド通信事業で先を行くコネクションバイボーイングが事業を止めにするという。思ったほど需要が無く利益が上がらず事業として成り立たないようだ。

衛星を使った事業は難しいことが多い。衛星を使った世界規模の携帯電話が一時期有望視されて巨大プロジェクトが次々と名乗りを上げ、まずはイリジウム社が低軌道に66個のイリジウム衛星を上げ世界的ビジネスをはじめたが、事業成立せず間もなく倒産した。(宇宙にある衛星はまだ機能していて倒産会社から極めて安い価格で衛星システムを買い取った会社が事業を続けている)。動き始めていた他のプロジェクトも全部潰れた。地上の携帯電話網の発達で、特殊用途以外は高価な衛星電話に客が集まらなかったのは当然のように思える。更には海外通話回線も今では殆どが海底光ケーブルだ。衛星を用いた通信事業は、大規模になるほど事業として成り立ちにくいみたいだ。

航空機からのブロードバンド通信も地上の携帯電話網用に作られた中継アンテナに次々にリンクして機体が陸上を飛ぶ間はこれを使うというアイディアが米国では間もなく現実の事業となる、こちらの方がかなり設備費が安い。コネクションバイボーイングの事業撤退も地上に衛星が負けた様に見える。

ITのメカトロニックな世界は結局がちゃがちゃしたメカの部分が成否を握り、更にビジネスという極めて人間くさい世界がそのものの存在を支配する。ITビジネスは危うい、でも先へ行くには使わざるを得ない。その危うさが一方で妖しい魅力と起業家の巨大な富を引き出して、刺激的で、引きつけるものをもっていて、みていてあきない。

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2006年8月16日 (水)

不安になることもある未来

久しぶりに旅先でダイアルアップ接続をしようとしたが、つながらない。ひかり電話になって自宅で接続テストが出来なくなったのが痛い。電話のトーンかパルスか、から始まって、IDの書き方が@niftyで変わったのではないか、旧ニフティサーブ会員だったのが確か近頃変更になったはず、とか、色々試したがどうにもこうにもならない。Niftyのwebページで接続方法を確認することもできず、デッドロックで2日過ぎたところで、パソコンの中のniftyのメモを記録していたファイルの中にサービスセンターの電話番号を見つけて、それほど期待せずに電話してみたら、これが立派な対応だった。こちらの携帯に電話をかけ直してきて、こちらでの試行で出てくるダイアル接続のエラーの出方から次々と対応策を連絡してくる。指示に従って、設定を変えたりDSNを手動で入れたり30分ほどやりとりして、試しに接続してみたら、なんとうまくいった。一時の落ち込みは何処かへ消えて、丁重なお礼を言って電話を切った。こういうときはほんとに地獄に仏の言葉が浮かぶ。

しかし動かしてみるとこれが遅い。ほんの数年前までこんな世界にで接続していたのかと呆気にとられる。ADSL、光、と換えてきて、換えるたびに、なんだ宣伝ほどには速くないじゃないか、と思ってきたが、とんでもなかった。もうダイアルアップには戻れない。

こんな調子で先へ先へと進んでいくことが時々不安になることもあるが、未来とはそうしたところがないとつまらない。

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2006年8月 8日 (火)

不吉な電話2

Fe06080419 日常の会話のさざめきの中に、再び不吉な電話が鳴る。

始発の羽田からのフライト、Déjà vuな事態の進行が悪夢のように繰り返された。

こんなこともあるんだ。

時の切れ目のない連続を頭上から照りつけるふるさとの日差しの中でぼんやり感じていた。

「ワシワシ」と呼ぶ蝉が湧いてくるように耳に入る。

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2006年8月 2日 (水)

DNAに刻む

簾に蝉がとまっている。やっと梅雨が明けた。

Jet06080 このところの不順は北極周りの冷たい気団が日本付近で南にでっぱって来て、南の暖気との境界に現れるジェット気流がなんと北風になったりして少々奇妙な配置となっていることにあるようだ。日本の東の海域は例年より温度が低く、オホーツク高気圧もまだ元気がいい。まあこの位は大したことではない。1万2千年位前から現代に至る温暖で落ち着いた気候の前は、短いサイクルで激しく気温が上下する時代が続いていたらしい、グリーンランドの11万年もの間積み重なった氷の層の解読結果をみると、現在の穏やかな気候が有り難く思えてくる。そろそろ終わりがくるサイクルにCO2の人為的急増が重なってきているみたいだ。確かに感じは良くない。

Akchi 週末に明智平で雲の観察会があって雲を暫く見ていてふとロープウエーの下の斜面にに目をやったら白っぽい蝶がいた。双眼鏡で見るとアサギマダラだ。そのまま追っていると、小さい上昇気流をうまく捉えて、殆ど羽ばたかないで上昇を始めた。巧みにセンタリングをして上昇風のコアを外さないようにして みるみる上がっていく。あっぱれとしかいいようがない。海を越えて渡りをするのだから、羽ばたいてばかりはいられない。蝶のソアリングを初めてみた。
これは、と思って一緒にいた人に 少しばかり上気しながら話しても一向に驚きが返ってこない。自分で上昇気流を捕まえて上ったことのない人にはなかなか感じてもらえないのだろう。

ミクロな蝶の世界は雲を作る上昇気流とつながり、結局は地球規模の空気と水の循環の大きな気候の仕掛けにも はるか彼方で繋がっている。渡りをする生物は大昔の気候が信用できない時代の記憶をDNAに刻んでいるのではなかろうか。いざとなればどこへでも飛んでいく。キョクアジサシが北極と南極の間を渡る、というのも、そんな風に考えると解らなくもない。

毎年毎年 ”史上かってない気候”が続いても、そんなものなんだ、まだまだゆるい、と思うべきかもしれない。

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