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2006年11月 3日 (金)

パックス・アメリカーナの終焉がいつ

エアバスが苦境にある。A380の製造の混乱から内部の問題が一気に吹き出した。物理的な製造の独仏分業が成立していない部分があったようだ。ドイツ側のコンピュータ製図ソフトで設計計算した配線の長さが実は短かった、フランス側の設計ソフトが打ち出す配線長さに合っていA380なかった、というところに原因の多くが存するらしく、こんなことが原因なら修復は大変なことになる。フランス側はドイツから送られてきた配線用の束であるハーネスをほぐして何とか製造機に取り付けようとしている。気の遠くなるような作業だ。分業をやめてフランスに統一したいがドイツはA380製造のために既に大分投資していてそれは無理だと抵抗している。独仏間のすきま風をみてロシアのプーチンはこの機会とばかりにエアバスの親会社の株をロシア国営銀行に買い進ませている。

エアバスの受注残、いわゆるバックログは増え続けているがユーロ高でリストラをきっちりやらないとこの先利益が出てこない。ユーロ高は単純に米欧の政策金利の差によっている。3ー5年位前は米国は低金利政策をとっていてこの間欧州の金利より低い時期がしばらく続き、この結果ユーロはドルに対して上がり続けた、その後景気が過熱するのを回避するため米国は金利を上げ続けて、欧州の金利を追い抜き、インフレと景気過熱を回避したところでやっと上げ止まった。欧州も遅れて昨年末から金利を上げ始めてユーロは高値安定となった、当分ユーロ安になりそうにない。第一米国の経常収支の赤字は空前な額で今後はドル安とみるのが普通だ、ユーロ安のめは薄い。多分エアバスは為替レート差を考えると赤字受注をため込んでしまったのだろう。本腰を入れて人件費を圧縮しないと立ちゆかなくなろう。
ここへきて、エアバスの大株主だった英国のBAEは資金調達のため株を全部売却した、英国はリストラの攻撃を守る盾を失い、おびえている。

これは相当な事件だ。そんなことにはならないと思うが万一エアバスがリストラに失敗して衰退したらここでも米国の一極支配が起こる。変な世の中だ。国の2割が貧困層であるいびつな国アメリカがまた力を増す。このまま行くと本当に革命が(古い言葉!)アメリカで起こることになるかもしれない。パックス・アメリカーナの終焉がいつ訪れるのか。その後に広がる世界は更にぎすぎすした危ないものになるような気がして、それもしんどそうで、逆に、これだから人類は生き延びていけるのか、と思うと、少しは分かったような気になって、なにやら納得してしまう。でも、やっぱりうんざりだ。

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