やれそうにもないことを
この間、気象予報士の話で全国紙に結構大きく紹介されたら、直ぐ後で講演依頼が舞い込んだ。定年間際の人に定年後の生き方に参考になる話を、というもので、とても荷が重い感じがして、即座に断ってしまった。後で思い直すと、無理でも受けておけばよかったか、と思えてくる。確かに仕事をしなくて良くなったら糸が切れたみたいになってしまいそう な気がすることに対する不安というのは気にしている人が多いようにも思える。時間が足りない時間が足りないと言い続けて毎日を過ごしている今の状態からはとても羨ましく思えてそんな人に有意義な話ができるとも思えないが、やれそうにもないことをやってみる、というのはちょっと面白そうなことではあった。今更遅くてもうそんな話はきっこない。
ぱらぱら雑誌をめくっていたら吉野屋の牛丼の話を目にした。吉野屋の牛丼は牛丼そのものへの徹底した異常なまでのこだわりの上にビジネスが成立していてそれはMBAの現代経営感覚とは相当に離れたところにあったらしい。注目すべき経営のやり方として最近紹介されるているようだ。
米国が調子悪くて日本が絶好調だった1980年代後半は、日本の経営者は長期戦略で行動する、米国は4半期業績で行動する、これでは米国は日本に勝ち目はない、といわれていた。今は全く逆になっているような気がする。失われた10年で自信を失って、経営がMBA流でアメリカナイズされた日本企業は4半期業績やアナリストの評価を気にしながら経営が行われているように見える。これではなかなか浮かび上がれない。
ビジネスの話であれ、講演する話であれ、目の前の できるか、うまくいくか、に振られてしまうのは、どうしようもないようにも思えるが、そうしていると、もっと大きな面白いことに出会わないままになってしまうような気がする。踏み出すスリルもまたよさそうに見えて。
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