シャガールからヤマトに思いを巡らせて
シャガール展というのが近くの美術館でやっていてたまには絵もと出かけたがこれがなかなかすごい。時代を追って順々に観て行きながら、シャガールはさまよえるユダヤ人だった、と繰り返し感じる。ドイツに残されていた絵はヒトラーに焼かれてさえいた。シュールレアリズムな描き方とは別にやはり絵の職人でもあった、求められればキリスト教の天井絵もえがいた。シャガールといえば個人的体験が凝縮された絵か浮かんでくるがそればかりではなかった。モーゼの出エジプト記を繰り返し描いている、アイデンティティを求め続けたのだろうか。ユダヤの血の濃さを感じてしまう。現実の濃さでなく伝えてきた文化の濃さを。
ヤマトはどうなんだろう、古事記があのようにまとまって口実筆記されて今の世までに伝えられてきているのが気になっていて、時々解説した本を読んでみたくなる。現在の日本人の原型は遺伝子上はバイカル湖付近の民族と関係が深いらしい。ところが、例えば 工藤隆著の“古事記の起源”によれば、古事記に記載されている話は概ね南方起源のもので文化的には南方と密に関わっている様だ。黒潮の流れも関係しているのだろう。海幸彦山幸彦の話はインドネシアによく似た話が存在していて、関係があるとしか思えない。歌垣も中国南部雲南省に今も残っていて、このあたりの文化とのつながりはかなりのものがあるようだ。面白いのは12支の“い”は日本ではイノシシだが他の国では豚をさし、東アジアの日本以外の国では豚を飼う文化が営々と続いてきている。漢字の家のつくりは豚を意味しており、中国では排泄物を食べる豚は家の一部だったとも言われる。日本では縄文ではイノシシを狩猟していて豚は飼っていなかった、弥生時代にはどうやら豚が飼われたらしいが更にそれ以降は豚を飼うことを止めている。僅かに沖縄にだけ豚を飼う習慣が残った。
これらは何を意味するのだろうか。弥生人は大陸北方から鉄を使う文化と共にやってきて縄文人を追いやった、が、文化的には南方から渡来した文化と縄文の文化に圧倒されるところが多々あり折り合いを付けて日本を支配するようになったのではなかろうか。神社に感じるキリリとした空気と豚はどこか合わない、これを一時は折り合いつけてきたかと思うとそう簡単な歴史でもなさそうだ。考えていくと面白くなる。日本語の起源もアルタイ系、南島語系、諸説有るが文化や人種的にも混ざっているようで、混然としていることがヤマトの中に流れている本質のような気がしてくる。ユダヤとは対極にあるようだ。
シャガールからヤマトに思いを巡らせて時空に遊ぶ、ちょっと重いがそれはそれで、広がっていく意識が楽しくもある。
| 固定リンク
コメント
宇宙戦艦ヤマトというと古代進の声優をやっていた富山敬(本名;邦親)氏を思い出しますね。ガンダムの基礎というかそれ以前の宇宙SFの熱狂が思い出されます。
このアニメではヤマトの波動エンジンの設計図はイスカンダルのサーシアが乗った宇宙船が火星にようやくたどり着いた宇宙船から届けられました。
同様な話は、第二次世界大戦中の日本初のジェットエンジンネー20というのがあります。これは戦局が悪化していた昭和19年の頃の話で、メッサーシュミットのエンジン設計図がUボートで北極海廻りで日本にもたらされた話です。海軍技術廠はその力の限りを尽くして無謀にもこのエンジンの開発にのりだします。
その中で最重要課題が推力軸受用座金の耐久性でした。これをクリアーしたのが安来の鋼であったらしいです。これにより国産ジェットエンジンは成功したのですが戦局を大きく変えることは出来ず、終戦とともに開発計画は中止したらしいです。
投稿: 牧野 | 2008年1月 1日 (火) 07時04分