カラマツからはからまつ雪が、ヤチダモからはやちだも雪が
今年は関東平野部の殆どで初雪がまだ降らない。もうこのまま雪無しで行くのかもしれない。どこかさびしい。
きのう朝 日光に行ってみた。東照宮付近は前夜の雪が木々の枝を白銀に変えて朝日にきらきらと輝きめったに見られないほどの美しい光景を見せてくれていた。着氷と着雪が一緒に起こったようで、もろいが繊細だ、朝日を浴びて暖まるに従ってはらはらと雪が降るように落ちてくる。いいようもなく綺麗だ。特に東照宮対岸のガラス細工のような有様が息をのむようにすばらしい。この分では奥日光はさらに圧倒されるような光景が展開しているのではないかと思ったがいろは坂の上りではむしろ木々の雪もこころなしか少なく、上に着いても下ほどの美しさに は遭遇しない。どうやら0度をやや下回る過冷却状態の水滴が枝に当たって凍り付く着氷と、前後して降る水滴が雪に変わる着雪が同時並行で起こらないとあそこまでの美しさにはならないようだ。奥日光は気温が低くて単なる着雪になっている、もろさはあるが繊細さには欠ける。しかし着氷はなくとも 奥日光の木々から降りかかる雪はきれいだ、量もあって見応えがする。このような光景には名前が付いているに違いないと思うが、なければ、木々の名前を付けよう、カラマツからはからまつ雪が、ヤチダモからはやちだも雪が、朝日を浴びてにわか雪のように風もないのに一斉にはらはらと落ちかかってくる。
宝物のような朝の時間が過ぎ去ると一転して後には黒々とした木々が日常の姿にもどりいつもの時間が流れていく。その転換が見事だ、どうして自然は単なる物理現象の重なりなのにこのような見事なしかけを我々の目の前に見せてくれるのだろうか。我々の心が響くのだろうか。
季節は春を隅々まで運びその濃さを日増しに強めている。
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