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2007年3月15日 (木)

フラット化する世界とY2K

前から気になっていた“フラット化する世界“(トーマス・フリードマン)をやっと読み始めた。昨年の5月末に日本語版が出ているので今頃読むのは相当に遅れているとしか言いようがないが、色々あったので、どうしようもない。フリードマンがフラット化している世界の現場をレポートしていくのだが予想通りかなり面白い。
例えばアウトソーシング事業が急拡大したインド・バンガロールでは、できることは何でも引き受けて、米国の個人の税金の申請まで請け負っている。こんなことが出来るようになったきっかけが面白い、例の2000年問題が大きく貢献している。2000年問題は結果的にはから騒ぎだったのだが、その予防措置として、すべてのソフトウエアの1行1行を見直して対策していくという気の遠くなるような辛気臭い作業が大量に、それも急いで発生した、これを引き受けられるのはインド位しかなかった。おまけにITバブルで光ファイバーがやたら引かれて大量のデータ処理を引き受けることが可能となっていた。Y2K騒ぎが終わったら結構インドが役に立つことが米国で実感されてアウトソーシングが急拡大したというわけだ。
馬鹿馬鹿しい騒ぎだったとばかり思っていたY2K騒動が実はとても意義深いことのように思えてきた。

Y2Kといえば、似たような話で最近とんでもないことが起こった。米国の最新鋭のF-22戦Raptor 闘機が沖縄配備のための初めての海外派遣で太平洋を渡ったが、ハワイ沖で日付変更線を越えたとたんナビゲーションシステムがすべてダウンした。日付変更線がからんだソフトバグだ。天気が良かったのと空中給油機がそばにいたのとでハワイのヒッカム基地になんとかたどり着けたが、ソフトのバグを2日がかりでとる羽目になった。

やっぱりY2Kで問題にしていたようなことは現実にも起こりえたし、一方でインドの途方も無いバグ取りは結果的に世界を変えつつあるのだから、世界がY2Kにまじめに取り組んだだけのことがあった気がしてくる。

軍事技術は外国にはアウトソーシングできない,つまり最後までフラット化されない仕事なんだろうけれどもこれがフラット化と長い長い連鎖でつながっているように見えるところもまた面白い。

まだまだ本は読み終わらない、フラット化がキーワードのように有難く聞こえるのはもう1年ももたないかもしれない、すぐに至極当然のこととなりそうだ、早く読んでしまわねば、下巻もあることだし。しかし世界と何かの感覚を共有できるのがとにかくいい。

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