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2007年4月20日 (金)

オオソリハシシギの渡り

昼休み散歩をしていると このところツグミが芝生で遠くを見つめている。今年は数が多い。この季節増えてくるのは朝鮮半島に戻る間のひとときのことだと思うが、とにかく餌を探すでもなく、遠くをみるように顔を上げて前を見つめている。短い渡りだから、準備も大して要らないと思える。見つめる姿が不思議だ。
Migratio 渡り、というとなんといってもオオソリハシシギの10000km無着陸飛行が近頃の話題だ。ニュージーランドの北島コロマンデル半島を3月17日の深夜に離陸した発信機を付けた1群が丁度1週間後に中国黄海の山東半島と北朝鮮に着陸した、無着陸の飛行だ、平均時速は54kmというから、どうみても途中での道草は無い。それにしても信じられない、なにしろ飲まず食わずで飛び続ける、たかだか3-400grの鳥だ。

どうなっているのだろうか、ありそうなことなのか数字で追ってみる。プロペラ機の航続距離計算式が基本的に使えるはずだから、これを使ってみる。エネルギー源の脂肪は1grで30kjouleの熱量が出せる。式はプロペラ機の航続距離R(nm)=145.8*ηp*L/D/bj*ln(w/(w-wf))で、単位をあわせて値を入れてみる。ηpは飛行機ではプロペラ効率で、鳥のは解らないが、ここでは発生熱量が実際の仕事に変わる分の効率全部を持たせてしまSorihsx う、0.25としている本もあるのだがちょっとかわいそうなんで0.3にしてしま う。bjは馬力あた り時間当たりの消費燃料重量(kg)だが、脂肪は1grで30kjouleの熱量を出すから、bjとしては1/(30000/750)*3600/1000 =0.09 kg/HP/hrとなる。L/Dは10とする、若干大きめだがいいところではないか、これでR=10500km=10500*0.54=5670nmにみあうwf/wを求めると、wf/w=0.7がいい値になる。即ち、離陸重量の70%に当たる脂肪を燃やして飛び続ければ10500km飛べることになる。ほんとだろうかと飛び立つ前と到着した様を見たくなる。しかしありそうな値だ。
070423 恐らく飛び始めたら止められない、取り付かれたように飛ぶ、ニュージーランドから北上し、東よりの貿易風に乗った後太平洋の高気圧の西端を回るような風に乗って極東にたどりついたのだろう、向かい風では長距離はきつい。
しかし、眠りながら飛ぶのだろうか、水は雨を飲むのだろうか、よく解らない。
とにかくこうやってオオソリハシシギは地球の春と秋をひろっていく。贅沢な暮らしのようにも思えてくる。
アラスカで生まれた子供は無事ニュージーランドまで帰りつけるだろうか。人間にはとても出来ない、人間が地球上で最も優れている生物だと思い込んではいけない。今の繁栄は30億年の地球の歴史のたまたまの一こまと思うべきではないか。

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