夜光雲という名前がよくて
夜光雲-Noctilucent Cloud-というのが地球規模の気候変動と関係があるらしい。高度80kmくらいの宇宙と大気圏の境目に漂う雲で、高緯度地域の夏に観測されている。宇宙ステーションからもしばしば確 認されている。上空の光を浴びて夜間光って見えることからこの名がある。勿論氷の雲だが、そんな高度に水分が上がって行っているというのが不思議だ。19世紀にインドネシアのクラカトア火山が噴火したときに噴き上げた噴煙が地球をめぐり、このときに初めて夜光雲として観測されたという。噴火の力で噴出物が高層に舞い上がり漂った、 しばらくして灰は落ちていったが雲は残り続け世界中に美しい夕日をもたらした、といわれている。このところこの夜光雲が拡大しているらしい。観測できる緯度が下がってきたという。
道理で時々何故か夜空が明るいことがあるのか、そう思ったが、まさか、と思える。
もう少し調べると、大気上層の気温と気圧の関係から高度40-70kmでは常にそこの気圧の沸点以上の気温となり水は気体となって雲はできないが、80kmあたりの中間圏界面(特に北極上空)と呼ばれる付近では非常に低温で(-90℃以下)、沸点以下になりわずかな水分でも氷結して雲を形成できる、ということのようだ。対流圏の大気層と同様、上層ほど温度が低いこの付近の大気層は上昇気流がおこりやすく、雲が漂うことになる。これ以上の高度ではまた温度が上がっていき水蒸気になってしまうし、上昇気流もおこらない。更に、この雲を形成する氷の表面でフロンから遊離した塩素が化学反応を起こしオゾンを破壊していく、というのがオゾン破壊のシナリオになっている。塩素を遊離する物質がオゾン層の破壊の原因を作り、その代表であるフロンが嫌われているというわけだ。火山噴火などで高層に水蒸気が吹き上げられれば、高層の水蒸気濃度が上がりこの雲ができやすくなる、ということにもなる。
でも、何故極地上空に出来やすいのか、よく理解できない。単純な理由でもないのだろう。低緯度地域にも発生するようになれば日本上空のオゾン層の行方も気になってくる。そのうち夜光雲破壊プロジェクトが立ち上がるかもしれない、そうなる前に一度は見てみたいとも思う。名前がいい。
まだまだ出会ってみたいことがこの世には溢れている。しかし手ですくい上げようとしてももれこぼれていく感覚をどうしようもできない。こぼれてもこぼれても追いかけ続けていくしかないと思い込んでいる。
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