バースデー
誕生日が近づいて自動車免許の書き換えのお知らせのはがきが来た。忘れるところだった。ともかく書き換えに運転試験場に行って型どおりの講習を受けたところ最後に普通免許でなくて限定つき中型免許と書かれた新しい免許を受け取った。法律が変わったためグレードアップしたことになる。誕生日をハッピーバースデーなどと祝う日はいつのことだったか、と思うが中型免許だって言いようによってはささやかなバースデープレゼントのように見える。
村上春樹が訳した短編を集めた バースデイ・ストーリーズ というのが目にとまって、読んでみた。最近は小説に面白いものが少なくなったように思う、現実のほうが小説より面白くなってきたためか。バースデイ・ストーリーズだが、誕生日にまつわる13の短編の一つ一つに村上春樹の紹介文がついていて、翻訳といっても個性的な構成になっている。いずれも現代のアメリカ小説らしく乾いている、身の回りの流れていく現実とは別の世界になっている。誕生日はだれにでもくるというただその1点だけにつながりを感じてたぐっていくようなところがある。
村上春樹も1篇書いている、20歳の誕生日を迎えた女の子が思わぬ贈り物を受ける話だ、これは乾いたタッチではない。村上春樹は翻訳することであの文体を作っていったと思っていたがこうして読むと、ちょっと違う、湿り気のある日本の風だ。
20歳の誕生日はどんな日だったのか、全く思い出さない。騒然としたなかの空白の日々だったような気もする。どちらかというと乾いた日々だったような気がする。
何かずいぶん遠くまで来てしまった、でも今からでも何でもやれるさ、そう思っている。
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