台風と竿灯と
また台風だ。この台風5号についても1週間前から東北北部への再上陸が気になっていた、どこの予測計算も4日土曜日津軽付近への再上陸を予測していた。日本海で転向しても行方に高気圧の壁ができて進み方が早くはならない、本当らしそうな気がしていた。今回は鳥ではなくて秋田の竿灯なんで嵐でも面白いということは決してない。台風の嵐ではるばる行ったはいいが祭りが無しとなる不安は現地に着くまで消えず、日常性からの離脱が複数の形で目の前にあった。
結局台風はほんの僅か早めに動いて土曜の昼前北海道南端あたりに再上陸、竿灯の始まる1時間前の18時には風はややあるものの雨は時折の霧雨で祭りは予定通り実施と決まった。台風が去っても結構な西風が残って日本海側は簡単には低い雲が消えない。衛星写真では台風の中心はどこか解らないが上空風分布からは明瞭にわかる、18時で襟裳岬あたりだ。ぎりぎりな天気だがとにかく逃げ切れた。会場付近の路上や空きスペースは全国からのバスだらけだ、ねぶたと似ている。 初めて見る秋田の竿灯は思ったよりダイナミックなものだった。頭や腰で山なりのちょうちんがついた竿を保持する、曲芸に近い。風であおられると姿勢が持ちこたえられなくて観客席に倒れ込む、それも面白い。うまいところはギリギリで観客に当たらないよう支えるが未熟なところはそのまま落ちてくる。よく見ていなくてはいけない。例によって最前線で写真をぱちぱち撮ったりビデオをまわしたりで忙しいが今回はとにかく気が抜けない。今日は風があっていつもより動きが面白かった、と後で聞かされた、台風は祭りそのものにも思わぬスリルを与えてくれたようだ。ちょうちんはねぶたと違ってろうそくだ。倒れたりするとかなりが消えてしまう、ろうそくを取り替えて火をつけなおしてまた立てる、うまいところはここらの手際もよい。いくつの竿灯が出ているのだろうか、企業やら自衛隊やら学校やら東北のめぼしい団体は全て出している。北はこのほかにも青森のねぶた、札幌雪祭り、と大掛かりな祭りが多い、これはかなりな負担になりそうだ、金銭的にも、人的にも。大丈夫なんだろうかと思ってしまう。しかし盛んになりながら続いているのを見るとこれが何かのエネルギーを与えているのだろう。
小さい子供は小さい竿灯でそれなりに頑張る、入れ込み方は一様でない。
そろそろ見疲れしてきたか、と思い始める頃終了の合図がある、それっとばかり近寄って竿灯を触ってみたり持ってみたり、記念撮影をしたりもしてみる、観客との距離が近い祭りだ。GPSを頼りに暗い中バスまで戻り、バスの中の眠りにしては深い眠りに陥りながら南に帰る。もっと見なければならないものがまだまだあるように思えている。
| 固定リンク
コメント