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2007年9月27日 (木)

CO2と航空機と鯨と

このところ航空輸送に対するCO2問題の風当たりが急速に厳しくなってきて、どうなることかと気になっている。市民運動レベルで欧州で特に厳しくなっているのは、航空機での長距離移動の出すCO2の乗客一人当たりの量が簡単に航空会社のサイトで計算でき(例えばBritish Airwaysのサイト)これが個人が年間普通に排出するCO2に較べてHikoukigmダントツに多い、個人レベルでCO2削減を課せられると、航空機を使わないというほかない、という事実に起因しているように思える。例えば英国―成田往復便を1回使うと1人当たり2.17tonで自家用車1年分(約2トン)以上のCO2を排出する。CO2以外の温暖化ガスの効果を入れるとこの3倍位に相当するという計算もあるようだ。こんなのを突きつけられると、ちまちまと紙を節約しても桁が違う、ハイブリッド車にしても電気自動車にしても追いつかない。日本でも日本語の航空会社のサイトで簡単に計算できるようになったらためらう人が出てきそうだ。
欧州では2012年から、欧州以外の地域から欧州に飛来する航空機からもカーボンオフセット(CO2排出権購入代金、温暖化ガス削減資金に使われる)を徴収すると言い出している。これに怒っている国が続出、米国が怒るのは覇権を奪われた気持ちからだが、アフリカが怒るのはよく解る。先進国が散々勝手放題をしてCO2を出しすぎた結果を後から来た国にも責任を負わせるのはあんまりではないか、ということだ。この手の話は老獪な欧州や無邪気な米国の行動をみていると良く出くわす。
例えば鯨だ。石油が発見される以前の18-19世紀にはランプの油は鯨油だった、ランプの油のためにとりつくされるほど鯨はとられた。特にハワイの西は良い捕獲場所だったらしい。日本の開国も捕鯨船への補給要請がきっかけだった。ジョン万次郎も捕鯨船で米国を知った。そんな歴史はきっぱり忘れて、今は反捕鯨の大合唱だ。反省のことばや懺悔の言葉があって、その償いをやってくれれば反捕鯨もわからぬではないが、そんなそぶりは露も無い。万事がこんな調子だ。アフリカでもインドでも怒るがいい。
欧州は懺悔してCO2を回収する努力を真摯にやらねばならない。日本も本当は少しは怒っていいくらいの立場だ、とにかく米国の湯水のごときエネルギーというか石油の無駄使いは目を覆うものがある。

航空機のCO2問題は結局航空機がバイオディーゼルを使い、そのバイオディーゼルを海洋で養殖した藻類から取れるようなサイクルが出来上がるまでは、決着しないだろう。カーボンオフセットでは根本的には解決しない。

こんな事態をみていると人類はどこまで生き延びられるだろうか、ずるい欧州はずるさだけではそのうち存在がむつかしくなるのではないか、結局知恵の勝負になってくるな、と思えて面白くなる。

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