素直な目による素直な言葉
航空機の事故をみていると、まただ、と思う事故が時々出てくる。昨年7月米国ユタ州で開発試験中の民間小型ジェット機Spectrum 33が離陸直後に墜落大破して乗員2名が失われた。離陸直後に右ロールし一気に90度まで急ロールして右翼接地大破したもので、原因はエルロンの左右のリンクを逆につないだものと判明した。正常に終了した前のフライトの後、脚ストラットを補強するため隣接するエルロンのリンクを取り外して改修した直後のフライトだった。この事故の後、航空事故のサイトに投稿あり、23年前にフロリダで全く同じ理由でレシプロ双発機Piper Navajo Chiftenを知人と共にフライトテストで失った思い出が語られていた。日本でも昔ある大学のグライダーが耐空検査整備後のテストフライトで離陸直後墜落した話(パイロットは軽傷)を聞いたことがある、このときはエレベータの逆接続だったという、整備の後は必ず舵を動かして、周りの誰かが(普通は数人が)見て動きをチェックするのだが、動くことをだけを見て習慣的に良しといってしまったらしい。根本的に逆だ、ということは時として見逃される。米国の事故も恐らく同じような経過をたどってのことだろう。
最近起こったF2の離陸直後の墜落事故も接続ミスだったと防衛省から公表されている。この場合はピッチレートジャイロとロールレートジャイロの逆接続で、フライバイワイヤの機体はセンサの逆接続は操縦系統の逆接続と同じだから、同種事故ということになる。この事故の発生が報道された時状況を聞いて直ぐに逆接続だなこれは、と思ってしまった。プロフェッショナルなパイロットは離陸直後に滅多なことでは操縦不能にならない。この場合も多分幾つものチェックをすり抜けて事故に至ったのだろう。人間は一旦思い込むとなかなか根本的間違いに気づかない。それも関係者全員がこのミスをおかす。
時々こんなことが自分の身の回りにも起こってはしまいか、と気になる。素直な目による素直な言葉はたとえようもなく貴重だ。
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