あるがままの世界をあるがままに
奥日光も一気に冬になってしまったようだ。先週中禅寺湖南岸を散策したとき、直ぐそばまでやってきた雪雲から風花が舞っていた。湖岸の茂みに姿をあらわせたツグミをやっと見つけられたのに、もう雪かと思ってしまう。寒気の南下が早い。ツグミも追われるようにして渡ってきたのだろう。春先にはうるさいくらいに目に付いて早く渡ってしまえと思うツグミもいまは季節の移ろいを伝えて好ましい。人の思いは勝手なものだ。
藤沢周平のドラマをしきりにNHKが流している、なかなか時代劇にしては面白いこともあり、一度読んでみようと図書館から 蝉しぐれ というのを借りてきてみたが、これが思いのほか読むのがつらい。ストーリーだけを追いかける劇画を読んでいるような気分になる。細やかな心理描写や情景描写はどこにあるのだろうか、とても読む気がしなくなる。なんとなくテレビ向きなんだな、と合点してしまう。やはり読み手も勝手なものだ。
あるがままの世界をあるがままに水のように受け入れたいと思っている、しかしまだまだ到達できない。日常のディテールへのこだわりを捨て去ることが一番難しいのかもしれない。生きていることそのもののようで、捨て去ることは結局できないような気もしている。
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