風と鳥と
渡良瀬遊水池にチュウヒを見に行った。宇都宮は風が弱くよく晴れて鳥見日和で、むしろゲレンデスキー日和というべきか、と思いながら山を仰ぐと山は雪雲の中だ、どうやら上空には北風の吹き出しが来ているようだ。スキーはやはりよして正解か、と話しつつ栃木街道を南下していくと栃木を過ぎたあたりから急に北西の風が強くなる。利根川水系沿いに谷川岳の方から吹いてくる風が暴れているようだ。宇都宮は盆地といってもよく西風には強いが山陰を過ぎると状況が一変することがある、今日がその日だ。遊水池につく頃には、クルマを出て風に向かうと息をするのもつらくなるよう状態となる。風のかたまりが容赦なく襲いかかる。橋を渡った土手の上で車の中から風でクルマごとゆすられながら眺めていて、飛び始めたらカメラを抱えて車外に出てとにかく撮る、というのを何度かやってみる、横殴りの風はカメラもぶれるしピントも合わせづらい、ビデオでも試みるがファインダーの中の像が見難くてこちらの方が余計難しい。こんなひどい状態でもちゃんとチュウヒが飛び出すのは立派としか言いようが無い。食べなくてはいけない必死さが伝わる。ガストがあるので飛びにくそうだ、V字型のはばたきもしてくれない、しかし風上に向かっているときは対地的にはとても遅くなるのでゆっくり見れる。風が強いのも不調なことばかりでは無い。ハイイロチュウヒのメスが2-3回でてくる、視界の裏側でオスの姿もちらりと見える。大きな望遠レンズを着けたカメラをどっしりした三脚につけて狙い続けている人が土手の東向きだけで3名もいる。こんな風の中でもよく頑張れるものだ。こちらはスコープなんぞも出す気もしない。
旧谷中村の葦のなかの道を歩いていくと風除けに道でうづくまるホオジロやカシラダカに遭遇する。近づくと、ぱっと逃げるが風にあおられてしまう、申し訳ない思いだ。
戻ってこの強風の風の流れをGMTで描かせてみようとしたが、どうもぴったりこない、利根川沿いの強風のラインが浮かび上がらない、アメダス入力点として圧力まで揃ったフルスペックの点だけでは不足している。色々見るまでもなく関東平野の中央の風の代表として下妻の風データを読ませてみると、これがうまくいく、それらしくなる。下妻の風を見るのが関東平野の風のポイントのようだ。またひとつ勉強する。
GMTのようなソフトをいじっていると時間がいくらあっても足りない、撮った写真や中断中の録音の整理もやらなくてはと気になる。どのみち遊びだからと半ばあきらめる、しかし見られる鳥は遊びではない、向会っているものの違いに、どこか情けなさを感じて、鳥に負けている、そう思ってしまう。鳥を見るのも複雑だ。
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