アメリカコハクチョウ
アメリカコハクチョウというのを多々良沼に見に行った、確かにいたが、アメリカの図鑑やヨーロッパの図鑑やイ ンターネットで調べてみると、学名上はアメリカコハクチョウがCygnus columbianus columbianusでコハクチョウがCygnus columbianus bewickiiとアメリカコハクチョウのほうが本筋のような扱いになっている。ヨーロッパの図鑑ではコハクチョウしかでてこないので、こんな学名のつけ方はアメリカ中心の分類か、と思ってしまう。ともかく北アメリカ北部で繁殖するのがアメリカコハクチョウ、ユーラシア大陸で繁殖するのがコハクチョウで、くちばしが黒いのがアメリカコハクチョウ、半分黄色いのがコハクチョウと見分ける、というわけだ。英名のtundra swanはアメリカの図鑑ではアメリカコハクチョウのことでコハクチョウはbewickii’s swan としてこんなのも時々飛んでくることがある、といった調子で紹介されている。オオハクチョウも北アメリカではくちばしが黒いTrumpeter Swanが主流でユーラシアのWhooper Swanは時々くる、といった按配でところ変わればめずらしさも変わる。アメリカコハクチョウと珍しがって普通のコハクチョウをなーんだ、とみるのもなんだか情けない。オーストラリアにいけば白いハクチョウはほんとに珍しくまずはコクチョウしかいなかったりもする。地球規模で稀少というのでなくローカルに珍しいものを追いかけるのはそれだけではなんとなく、との感じがする、しかし、どうであれ自分にとって珍しければそれでいいようにも思う。
名前のつけ方も人類の勝手だからどうしようもない。翌日 街の図書館横の公園で時間をつぶしていたら、ドバトがひとしきり飛び回っている。ドバトなんかを見ていると模様が違ってさまざまでも、ともかく一まとめてドバトだ、カントウドバトやミヤコドバトなんていうのがあってもいいような思いがする、ドバトだけではかわいそうな気がする、めずらしく無いものには名前のつけかたも冷たい。
細かく分類して色々名前をつけていくことそのもは、多様な生き物の世界に入り込むようでそれはそれでいいように思うが、所詮これからも長く長く続いていく進化・分化の過程のほんの一瞬を切り出してみているに過ぎない、どこか虚のかおりがしてちょっと面白い。
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