梅雨とパイロット不足と
今年は梅雨に入るのが随分早くてどうも遊ぶ調子が狂う。このところ梅雨らしい日が続いていたが、今年の梅雨はインドのベンガル湾あたりの海水温の昇温が早くて湿り気の多い空気を次々に梅雨前線に送り込んでようで勢いがいい。ではベンガル湾はというとこれはエルニーニョと同期した海水温の動きがあるように思えるが、しかしよくわからない。ここらにくると何がニワトリで何がタマゴなのか判然としなくなる。
よくわからないといえば、このところパイロットのやりくりがつかずでフライトが大幅キャンセルになる国内のエアラインが出てちょっとした話題を提供している。こんなことくらいなんとかならないのか、といいたくなるがなんともならないのが航空ビジネスのようだ、似たような現象はここのところ米国で時々起こっている。米国では昨年は月末になるとパイロットの月間許容飛行時間の制限に引っかかるパイロットが出て飛べるパイロットが不足してフライトキャンセルが続出する事態が起こっていた。米国は昨年の12月、国のレギュレーションでエアラインのパイロットの定年が60歳と定められていたのをパイロット不足に直面してあっさり65歳まで延長する法案を成立させてしまった。一応当座の危機は逃れたがやはり不足気味だ。もっとも 厳しい競争でエアラインの経営上抱えるパイロットの数を最小限まで切り詰めているのもフライトキャンセルの原因として大きいようにも思えるのだが。ともかく計算上世界の航空需要の伸びにどうみてもパイロットの供給が追いつかず不足することは明らかだ、航空需要の急拡大のインドなどでは本当に苦しくて今までは米国の定年パイロットをあてにしていたのが米国の定年延長でこれが絶たれて苦しくなっている。航空機の大量発注が相次いだインドだが今度はキャンセルの山になるのではとエアバスなんかは警戒している。一方ではビジネスチャンスとばかり大手シミュレーターメーカは訓練そのものを引き受ける事業に乗り出したりしていて、なかなかに面白いビジネス風景をかもし出している。
そもそもは需要拡大でパイロットが不足気味のところへ規制緩和によりローコストエアラインが次々に起業、競争が激化して各エアラインは経営効率化のために空席を作らないように機体サイズを小型化したり(必要パイロット数は増える)、要員の余裕の切り詰めたり、人件費そのものの削減したり、これらが折り重なるように生じて、パイロットの余力が無くなっていったようにみえる、しかし運賃は低価格化で需要は更に増える、パイロットは更に足りなくなる。。。ここまでくると本当は何が原因で何が結果なのかわからなくなっているように思える。カオス的な風景になっている。なんだか疲れる風景だ。
華やかにみえる航空業界も結局は個人の技に頼っているところが面白い、エレベーターのような無人運行が実現する見込みは暫くはありそうに無くて、ここ当分パイロットの重みは減じないだろう、しかし人間くさいのもいい。
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