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2008年8月14日 (木)

ベラスケスのマルガリータ王女

新国立美術館というのができて、収蔵品を持たない美術館として議論を呼んだりしたがとにかく見たことがないので先日機会を見つけて見に行った。出し物はウイーン美術史美術館の静物の秘密展というものだったが、マルガリータ王女を描いた絵が1枚出ているのも見たくなった訳でもある。

この2月マドリードのプラド美術館に行って、いい絵にたくさん出会ったが、不思議な絵も心に残った。ベラスケスのマルガリータ王女を描いた絵がPhoto ここには2枚あった、そのうち有名なラス・メニーナスと名づけられたお付の者にかこまれた絵が気になった、印刷された写真を何度も見ていたが現物はずいぶん違った不気味なものだった。右側に描かれた醜いこびとが思っていたよりかなり大きい、主人公たるマルガリータよりもはるかに大きく描かれていて見ようによってはこびとを描いた絵にも見えてしまう。マルガリータ王女を描いた絵はこのほかにもルーブルでも見ているがこちらは普通のお見合い用の美しく描かれた肖像画だった。プラドのこの絵はお見合い用ではない。思うに宮廷画家は、独特の任務が課せられていたのではなかろうか、祭り上げられたはだかの王様になっていないか真実の姿を描いてみせる任務があったのではなかろうか。宮廷画家となったゴヤの絵にスペイン王室一族を描いた有名な絵がある、王の権威は落ちぶれて力なくたたずみこれを見下すような高慢な王妃の姿が見事に描かれている、崩れ行く王政を目の当たりに見る思いがする。ラス・メニーナスのこびとは醜さがそばにいることを、栄華のすぐ傍らには醜さが待っていることを感じさせているように思える。

新国立美術館に展示されていたマルガリータは本当に幼い少女だった、神聖ローマ帝国とスペイン王国の連携がこの幼い少女に託されている、政治の道具としての醜いかもしれない生き方が前途に控えている。見る人の思いの中に絵は存在し続けるのかもしれない。

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