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2008年10月29日 (水)

航空機とプリンターと

航空機の世界に染まって時がたつが、航空機ビジネスはなかなか難しいことがあってビジAirp1 ネスのどの段階で利益が出やすいのかよくわからない。ある時ジェットエンジンのビジネスをエンジンメーカーのそれなりの方に聞く機会があったが、要するにカミソリと同じですよ、(タービンブレードの)部品交換で利益を上げるんですよ、との答えが返ってきた。ひげそり用のカミソリは柄の部分などの値段はあってないようなもので客が換え刃を買ってくれることでビジネスが成り立っている、ジェットエンジンも最もクリティカルで損耗が早く高価なタービンブレードを定期的に交換してくれることで利益が上がりビジネスが成り立っている、ということのようだ。結局高価でハイテクの部品で利益を出している。しかし構造を主に製造し 装備品の殆どを購入して組み立てる航空機の機体メーカではなかなかそういうわけにも行かないように思う。ともかく部品で儲けるビジネスモデルはパソコンやデジタル機器では常識的だ、ハイテク部品と最終製品の販売のところで利益が大きく、中間の製品組み立ての部分は技術的に高度さが求められなくて利益が薄い、組み立ては積極的に低賃金国にアウトソースして価格を引き下げ競争力をつける、というビジネスモデルだ。(利益の)スマイルカーブと呼ばれる。自動車や航空機はスマイルでもないらしいが良くはわからない、しかし自動車は電気自動車が主流になったら電気製品と同様スマイルカーブが明瞭になってくるのかもしれない。
ジェットエンジンと似たようなビジネスモデルは他にもあって、身の回りでは、プリンターが有名だ、本体の利益はさておいて、交換インクカートリッジで利益を上げる、という仕掛けだ。純正インクカートリッジの値段の高さにはちょっとうんざりしていて、サードパーティーの製品に変えようかとネットで探していたら、詰め替えインク というのを売っている。勿論純正ではない。キャノンのBcl-7e 4色セットで4回分の詰め替えインクで送料込みで1980円というからこれは圧倒的に安い。早速発注したが、詰め替えるってどうやるんだろう、ちょっと不安になる。程なく送られてきた商品をみてみると、カートリッジにはもともと製造時にインクを注入した穴がつぶしてあるところがあって、ここにキリでまた穴を開けてインクを入れてメクラブタをする、というものだった。とにかくインクが切れたのでやってみると案ずるほどでもなくうまくいく。印刷も写真のような刷り上がりは純正品と変わりはない。これはお買い得だ、しかしこんなのがはやるとプリンタのビジネスモデルが崩れてくる、交換品で利益をあげるモデルはここらが苦しいところだ。航空機の構造部品の交換部品でも、図面が流出すると直ぐにサードパーティが安く作ってビジネスをはじめ、機体メーカーの交換部品ビジネスが成り立たなくなった話を聞いたことがある、YS11の話だ。
しかし、こうやってビジネスモデルができてはこれを崩そうとするせめぎ合いで人類は前に進んでいっているようにも思う。いつまでたっても終りが来ない、だからいいのかもしれない。

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