蕪栗沼ふたたび
伊豆沼に来ると時間の経つのが早くて忙しい。早朝のいっせいにマガンが飛び立つ場面 から夕方のねぐらいりまで13時間くらいの間がするすると過ぎていく。疲れてくる。忘れ物が目立ってくる。しかし、ここらあたりを走り回っている限り常に空のどこかにマガンの編隊がいて空から声を降らせる、これがいい。
それにしてもおびただしい数だ。夜明け前、蕪栗沼での飛び立ちを見る、2年前よりも確かに数が多いような気がする。圧倒される光景は2年前と同じかそれ以上なんだが なんだか飛び立つ前の次第にマガンの緊張感が高まっていく雰囲気が少し違う、今回はポンポンと飛んでいく。2年前に来た時期は今回より1週間くらい早かった、それだけ夜明けも早い、そんなせいもあるのか。
飛び立つタイミングを気をつけて見ていると今回は6時10分頃近くの東北本線の下り電車が通過する轟音で蕪栗沼の西奥にかたまっていた大集団の半数が、そして直後の上りの通過で残りすべてが突然に一斉に飛び立つ。たちまちそら中がマガンの声だらけとなる。前は電車ではなくてマガンの鳴き声の周波数が次第に高まって緊張がみなぎったところで飛び立っていたように思えた。今回は23,24日両日ともこうなのだから、この6時20分付近が日の出となる数日は日の出10分前くらいの電車通過時間が頃合となって正確に同じ時間に一斉飛びたちが繰り返されていることになる。大きな里山なんだここは、と悟る、人の営みと鳥の営みがどうしようもなく絡まっている。蕪栗沼の中の道を歩いていると大自然の中にいるような気がしてくるが、本当はそうではない、人の生活の場でもあることを知らされる。
だからといってどうということでもない。少しマガンとの距離が近づいたような気になるだけだ。
録音機を換えたのだけれども今回も録音はまともに録れていない、暗がりで高まる声にあわてながらボタン操作して押し間違えたようだ、これも人と鳥の絡みの一こまなのだろうとあきらめてしまう。その場でただただ感じることが全てだ、それで十分だ。
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