春は忙しい
春は忙しい。夏鳥がさえずる季節になって山の森は鳥の雰囲気で満ちている。日光・稲荷川沿いの森で今年も鳥のさえずりの録音を始める。オオルリが飛び交う。キビタキが2羽で追いかけあって騒がしい、センダイムシクイはうるさいばかりだ、コガラやヒガラやメジロ が元気よく飛び回る、ヤブサメが虫のように鳴き始める、森は波を打ちながらにぎわう。薄暗い針葉樹からはトラツグミの声さえ聞こえてくる。まだ鳴きはじめなのか音階が少ない。キビタキも一羽で朗々とうたいあげているのは上手だが、元気に追い掛け回しているのは何故か単調でまだまだの感じがする。春の森はきりがない。
いい加減疲れてきたので引き上げようとして石に躓いた。連休初日で朝早くから動いていて、注意散漫になっていた、たまたま手に持っていたペンタックス一眼レフが手から滑り落ちて石を直撃した、望遠レンズがしたたか石を打った、冷たいものが走る、これはダメだ。拾い上げる、望遠レンズの先端の側が大きく割れている、ファインダーを覗くが真っ暗で何も見えない、壊れてしまった。心が暗くなる、痛くなる。帰り道の下りでもキビタキが軽やかにさえずりミソサザイが歌い上げているがそれどころではない。モノが心を襲う。クルマの運転にことさら気をつけながら戻る。
モノの打撃はモノでしか癒せない。急ぎ代替品をネットで探して即発注する。しかし連休中の遠出には間に合わない。思い出して昔のペンタックスのレンズをネジマウント(M42マウント)にアダプターをつけてKマウントで使えるようにしていた、あれを使おう、とほこりを払って出してくる。扱いやすいようにアダプターのロックバネをはずしていたのでカチッとは止まらない、本気で使うには危なっかしい。レンズも改めてみると望遠レンズのピント合わせが滑っていて動きがおかしい、しかしだましだまし使えば一応望遠として使える、急場は これでしのぐしかない、使えるだけましだ。やっとの思いでロックバネは元に戻し試し撮りする、マニュアルの感覚がよみがえる、これもなかなかだ。
やはり春は忙しくて、無駄な動きばかり強いられるようで、それがまた少しばかり新しい切り口を開いてくれて、春らしい。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)