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2009年4月28日 (火)

モノと心のやりとりが

グローバリゼーションの果てのとんでもない世界同時不況が吹き荒れている、実体経済ではクルマを始め物が売れない。それにしてもクルマが突然売れなくなるというのも考えてみればおかしな話だ。クルマ社会の米国では金融が機能しなくなってクルマのローンが組めなくなったことがその大きな理由といわれるが、日本ではそんな話は聞かない、十分に寿命の長くなったクルマを買い換えていたのが本当はそんなに頻繁に買い換える理由などなかったのかもしれない、先行きが不安になってそれに気づいて売れなくなったのだろう、若者のクルマ離れも進んでいた。リーマンショックがなくとも早晩クルマの売れ行きは壁に行き当たったのがたまたま一気に起こってしまったのだろう。電機業界がおかしいのは直接的には薄型テレビの価格暴落が主因とも言われる、何故この時期に重なったのか、考えてみればこれも少し変だ。多分心がからむ問題なのだろう。
日本の失われた十年の時には次々にロケットが打ち上げ失敗に陥っていた、本来まるで関係のないようなことが調子を合わせるように重なってきて暗い気分を一層暗くしていた。世の中のみなぎる自信が失われるとそれがモノに出てくる、これがかってない不況の特徴なのだろう。人知の及ばないところまで暗い雰囲気が行き渡る。
Taurus 今回も今年の2月にNASAが打ち上げたTaurusロケットが失敗して温室効果ガス観測衛星が海の藻屑と消えた、少々小ぶりだがNASAとしては久しぶりの失敗で失われた十年のデジャヴィのような気もしてくる。しかし今回は続くスペースシャトルの打ち上げには成功し、不安の連鎖は一応絶たれている。それに火星探査を巡って明るい話もある。不況の底は打ったのかもしれない。
火星探査を巡る話では何と言っても1999年に単位系をまちがえて行方不明になったNASAの観測機Mars Climate Orbiterの話がとんでもない事件として記憶に残るが、最近の探査機ではもっと前向きの話題が伝わってくる。5年前に火星に降りて探査を始めたローバーのspiritとopportunityが当初予定の90日の寿命を大幅に超えて今もなお動いているというのだ。そもそもの90日の寿命というのは太陽電池パドルに砂が降り積もることになるので90日も経つと発電できなくなるというアバウトな計算だったが実際は強風が吹きすさんでいて積もった砂はすべて吹き飛ばされてしまって発電には支障がない次第となった。機器が機械的寿命で壊れるまで使っているわけだが現在は右車輪の一つがスタックしてしまって引きずるようになってしまっているという、ところがその引きずって出来た溝から昔の温泉で析出したシリカが発見されて、貴重な発見となった。壊れても尚壊れた部分が別の意味で探査に役立っているというから本当にしぶとい。
このしぶとさは勿論今回の世界同時不況のはるか前に送り込まれたものだ、いまかみしめて自信を取り戻すべきなのだろう。米国では不況の嵐も行く手にほのかな光が見え始めた。

モノと心のやりとりが事象の本質をついている、そんな気がしている。

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