« 風邪をひいて | トップページ | モノと心のやりとりが »

2009年4月22日 (水)

春らしい雨が

久しぶりのしっかりとした雨が降る、北から降りてきた上層寒気が切離低気圧を醸成しつつその前面の対流圏に南風をかきいれて低気圧を発達させている。春らしい空気の脈動だ、春らしい雨だ。久しぶりの雨で東北と四国では地震だ、春の鳴動そのものだ。

源氏物語(与謝野源氏Uji3)の宇治十帖をネットで時間の合間に少しずつ読んでいる、宿り木を過ぎ浮舟を過ぎて手習まできてそろそろ夢の浮橋だ。それにしてもこのような長文が多くの人に読まれる読み物として引き継がれてきた事実に改めて驚く、自筆で書いたものからの書き写しだけでねずみ算のように増えていけたのだろう、印刷以前の出版の世界がまぶしい。物語が書かれたのは漢字からひらがなが分離してかな混じり文が書かれはじめた菅原道真の時代から100年くらい経った頃だ、遣唐使も廃止されて100年、和風のかな混じり文の物語にのめりこむ読者がすでに数多く居たということでもあるのだろ う。
薫、中の宮、匂の宮、浮舟 の心の動き、人となりが細やかに書き分けられていて引き込まれていく。宇治川の音が響く。話の引き回しも手が込んでいる。現代的といってもいい、与謝野晶子の訳文そのものが古く感じたりもする、戦前の訳でなく現代語訳が似つかわしい。

春の雨もそろそろ上がってキジの声がする、こんな日は物語を読むのにちょうどいいように思えてくる。

|

« 風邪をひいて | トップページ | モノと心のやりとりが »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 春らしい雨が:

« 風邪をひいて | トップページ | モノと心のやりとりが »