いい文章が書きたくて
太宰治が生まれてそして亡くなった6月は図書館へ出かけても太宰の本が特別に並べてあって、つい借りてきてしまう、それにしてもストレートな文章だ。昔教科書に走れメロスというのが載っていたが、あのデカダンの雰囲気の漂う太宰がなんの仕掛けも無いような話を書いたというのが未だに引っかかっていてまた読んでしまう。読み返しても頗るストレートな語り口だ。やっぱり何の仕掛けも無い。メロス以外の人物の重みが軽くて一人称の小説のようだが重くならない、クリアーな感じさえする。富岳百景もついでに読んでみる、小説というより随筆というべきなのだろう、そのままあったこと感じたことを書いているだけのように思える。これも一人だ。だがしつこくない。太平洋戦争に突入する前の重苦しかったであろう時代の雰囲気は流れてこない、ただただ淡々とむしろ明るい。この素直さは確かに長い時を持ちこたえられる、いくつになっても読める。
いい文章を書きたい、もしかしたらこれはお手本になるかもしれない、ふとそう思った。もっと読むか。
6月の風は7月へと吹きぬけようとしている、梅雨はまだまだ続く。
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