若鳥の呑気さが
一月ほど前から庭の物干しにしょっちゅう変なひよどりが来るようになった、どうしたんだろうと写真にとってネットで少し調べるとひよどりの若鳥だった。庭の桜に巣がかかっている年があって今年がそれか、巣立ったばかりのひ よどりか、とかわいらしくなる。いつもはうるさいひよどりでも若鳥はちょっと違う。世慣れした風が無くて初々しい、警戒心も少ない。すずめも時々妙に馴れ馴れしいのがいてこの間などは少し開いていた窓の隙間から部屋に入ってくる始末で、変だなと思っていたが、どうもこれも若鳥のようだ、家の近くのどこかに巣があったのだろう。世間の荒波にもまれていくと警戒心が先にたち周りにガードを立てるようになってくるがそうなる前は世界と共にあるようで呑気さがあって好ましいしうらやましくもある。飛ぶものは何でもそんなところがある。
昨日は韓国が初めて自前のロケットで衛星を打ち上げるはずの日だった、 ぎりぎりで加圧用圧力タンクに異常が検出されて延期されたが、釜山の西の外羅老(ウエナロ)島から南に向かって打ち上げることになっていた。1段目はロシアのアンガラロケットで2段目が独自の固体ロケットになっている、1段が液体で2段が固体というのも珍しい。1段のエンジンはアンガラのRD191エンジンの推力を絞ったRD151が使われているが全体をロシアのクルニチェフが責任を持っているといわれる、要するにロシアの影が濃い。ロシア技術の導入は2005年頃決定されてとにかく早く自力で衛星を上げたいということらしい、日本のH1もアメリカの影が濃いものだった、とにかく立ち上げることが肝心だ。RD151エンジンそのものはまだ打ち上げられたことが無いが原型のRD170はロシアのエネルギアロケットに使われて、もっとも高性能なケロシンエンジンといわれており米国アトラスVのエンジンもこの派生型のRD180が使われている。ロケットの1段は燃費性能より高推力が重要で日本のH2の液酸液水エンジンよりこちらの方が1段としては優れているようにも思える。このロケットを土台に韓国は宇宙に自力で乗り出そうとしている。前途にまだまだ困難が続くだろうがともかく走り始めているプログラムは初々しい。
何はともあれ安全に上がってほしいが、最近の航空宇宙業界ではなかなか計画通りに飛べない話で満ちている。ボーイング787の開発はスケジュール延期をを繰り返し、本来なら北京オリンピック前に全日空が運行を始めているはずが未だ初飛行もできていない、エアバスA380は今ではデリバリが進んでいるがこれも開発では製造が混乱してデリバリは当初の2年遅れとなりおまけに経営陣のインサイダー取引疑惑までとびだしてCEOが退陣するなど散々な有様だった、更にEADS/エアバスの大型軍用輸送機A400Mの開発も政治的圧力に端を発する技術的問題で暗礁に乗り上げこれも今頃は実運用されているはずが初飛行もできていない、4年くらい遅れている、日本の自衛隊用輸送機C-Xの開発も同じく初飛行がすでに2年は遅れている、原因は勿論いずれも技術的な問題だがこうも世界中で開発がうまくいかないと、根本的にやりかたに問題があるのではないかと思ってしまう。ISO9001のような設計品質マネジメントシステム認証がこの20年ほどの間に世界に広まったが、こんな事態を予感させて広がっていたのかもしれない、しかし追いつかなかったようだ、形骸化しているのかもしれない。
仕掛けがどんどん複雑化する時代では、宇宙や航空に限らず、若鳥のような呑気さではやっていけなくなってきているように感じられる、このまま何処へ向かって走っているのだろうか、どこかで新たな次元がひらけるのだろうか、考えてもおよばないように思えてくる、難しい。
| 固定リンク
コメント