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2009年9月15日 (火)

今回の経済危機は基本的に取り付けの連鎖

このところ涼しい、例年に較べても最低気温がやや低い。晴れが多くて明け方の気温が下がる日が多いためだろうか、最高気温のほうはならしてみれば平年並みだ。最高にしろ最低にしろ平均にしろともかく毎日およそ0.2度ずつ下がり続けて、秋は着実に深まりつつある。

9月というのはニューヨークの株式市場では歴史的に株価が下がる月なのだ、という説明をネットのどこかで読んだ、なかなか経済の状態が戻らない。この恐慌にも似た世界同時不況はどうなっていくのだろうか。米国発のサブプライムローン破綻をきっかけの金融危機から突然消費急落に至った、というしかけもなんとなく解ったようでいまひとつしっくりいかない。
クルーグマンの「世界大不況からの脱出」という本を読んでいたらちょっと感じるところがあった。(鮮やかにグリーンスパンをそもそもの犯人と断罪している点はピッと来るがそればかりではない。)なかなかいい本だ。
世界恐慌に近い今回の騒ぎは基本的に取り付けの連鎖と理解すると見えてくる と読める。なーんだと思う。経済の話はわかりやすく説明されると当たり前のことが起こっているに過ぎない様に感じる。

取り付けは銀行が潰れるかも知れないと預金者が疑って預金を次々に引き出す事態だ、そもそも銀行は預金を貸し出すことで事業をなしているから手元には資金は大して残ってなくて全部の払い出しにはとても応じられない、取り付けを鎮めるには公的機関からの十分な資金注入しかないし防止するには準備金をそれなりのレベルに維持する規制が必要だ。今回の金融危機の始まりは銀行の預金者でなく 投資家の資金を集めて他へ投資する投資銀行機能に対して投資家の資金の引き上げが始まったところにある、そのトリガーがサブプライムローン破綻で投資の回収が怪しくなったから と思えば理解が早い。規制や救済の枠の外にある投資銀行のような影の銀行に(マウスのクリックによる)取り付けが起こった。影の銀行の資金は通常の銀行を超えていた、銀行のような預金保護は無く危機は連鎖的に急速に広まった。あらゆる投資・融資からの資金の引き上げの動きが個人のローンも止めてクルマも大型テレビも全く売れなくなった、需要の急落から本当に製造業が急速に動かなくなって余剰人員を大幅に切り出した。先行き厳しいと見て日本でも大物の消費は手控Jidou_2えられてクルマは売れなくなった。日本のクルマの生産推移を見直してみると昨年秋以降輸出が6割以上減 国内は2割減で輸出トリガーの危機の実態がありありだ。金融はどのようなものであれ集めた資金を有望な資金需要者に貸し付けてその成果の回収からリターンを生む仕組みだから取り付けによる途中での資金の引き上げ(要するに貸しはがし)は本質的に融資資金による活動の破綻を生む。資金需要者の活動そのものも借りた資金を元手に調達や雇用という名で資金を投じている、資金は流れていくだけに過ぎない。資金の引き上げの行き着く先は個人の給料に及ぶ、レイオフ、派遣切りが蔓延する。国際的にもドルが低落すると見て低利で日本から借りてドルに換えて利ざやを稼いでいた資金が我先に円が安いうちに返済してしまおうと$を円に換えて($を売って円を買って)日本の銀行に返済する、結局更にドルが急落する、巨額の損失が発生する。懸念したことが行為によって現実となる、これも一種の取り付けかもしれない。
基本的に資本の取り付けとみると今回の混乱は見えてくる。規制緩和してはいけない部分まで緩和されてしまった、(あるいはすべき規制が進まなかった、)それがこの危機の根幹にある、それを多くの人は感じて、小泉改革の規制緩和を破綻と結び付けているようにも感じる。今や規制の無い資本主義は野蛮な世界となることをまのあたりにみる思いだ。

抜け出すには逆回ししていくしかない、需要をつくり 資金の流れの不安を取り除くしかない、少しは需要も動き出し金も流れ始めたが必死にスリム化した企業に雇用が戻るにはまだまだのようだ。

当たり前のような解説が事態をすこしばかり解ったような気にする、だからといってどうということもない。人間世界の騒ぎも知らぬげに秋は淡々と深まっていく。

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コメント

先週末に郊外へドライブに行ったのですが、国道沿いのあちこちに店舗の廃墟があり、驚きました。自動車のショールームだったところが、廃品回収業者の物置きになってたり・・・(ゴミだらけ)。

なんか金融不況というよりも、国そのものが老化して活気がなくなっているように感じます。若者が集まる大都市でさえ、住民の平均年齢が40~45才くらいになってますし・・・。

90年代後半の超就職氷河期のせいで若者(現在の30代)が低所得化して未婚率が上昇し、第三次ベビーブームが起きなかったことが国の老化を早めているようです。

投稿: ponpon | 2009年9月15日 (火) 15時10分

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