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2009年11月 4日 (水)

温身平

温身平(ぬくみだいら)という所がいいらしいというので週末飯豊山麓にでかけた。紅葉はそろそろ終りかもしれないと思いながら飯坂インターから米沢を通って小国街道を走る。立派な道だ、新潟と山形のつながりの深さを感じる。天地人ののぼりが至る所にはためいている、来年はちょっと寂しくなるかもしれない。
県境近くで右にループするように分かれて南下する。紅葉が次第に良くなNukumi1る、まだ終りではないようだ。天気は予定通り晴れてきた。
飯豊山荘から徒歩で温身平に入る。ブナの黄葉が美しい。間伐の手が入っ ているのだろうか、白神の森よりまばらだ、風通しがいい、エナガやシジュウカラが飛び交う。大木もあるが若木も結構目立つ、森の再生が回っているようだ。上流から運ばれた土砂が堆積して出来たとみられる温見平だが更に流れはちょっとしたNukumi2崖の下にある。河川敷というより台地のような地形だ。翳り始めた日差しに色づいた葉が良く映える。繊細なカットが続く、ブナの白い木肌が並ぶ様は、どこを切り取っても安らぐような素晴らしさがある。赤いばかりが紅葉ではない、ブナの黄葉とコハウチワカエデやアカイタヤ、ヒトツバカエデなどの黄色 いカエデが微妙な黄色のグラデーションをつくる。カイラギ沢にかかる辺りから大き目の石が転がる沢が近づきリズムのある景観を作る。対岸の林から尾根に斜めの夕日が当たる様が息を呑むようで見入ってしまう、スケッチにかかるがその細やかさはとても未熟な手では写しとれない、とにかく見るしかない。
けもの歩道と名づけられた小道を歩く、道は一面の落ち葉で覆われて歩くのが心地いい。終りのない時間が流れ行く。これはいい。300km近くを走ってくるだけの価値がここには十二分にある。

Nukumi3モミジの美しさはその場その時だけのものだ、光と緩い風と川の流れの響きと小鳥のかすかな声と木の香りそして舞う木の葉、それが合わさって えもいわれぬ感覚を与えてくれる、後から思い起こそうとしても もろくてはかない記憶の断片だけが残っているだけだ、写真にも絵にもビデオにも録音にもその有様の全体はおとしこめられていない。一度しか起こらないことが永遠に繰り返される、生きていくことそのものを見る思いだ。ただひたるだけだ。

山には雪がかぶりはじめた、新たなそしてこれっきりの冬がまた来ようとしている。

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