福岡城にて
正月に福岡へクルマで行ったのが何かと感じるところあり、戻ってからも色々思い起こす。
福岡でちょっとばかり時間があいて以前に住んでいたのに福岡城を殆ど訪れたことが無かったと気がついて行ってみた。
年末から正月の期間は城の駐車場がクローズされていて止む無く近くの護国神社の駐車 場に止める、初詣用に無料解放されている。大濠公園も直ぐ近くで福岡城周辺のエリア全体が広大な公園のようなオープンスペースとなっていることに改めて気づく、この街の大きな特徴のようだ。城は城壁がよく残っている、表御門から入ると立派な石積みが続くが多聞櫓のある裏手から入ると少々乱雑な石組みだ、表情があって面白いというべきなのだろう。数少ない建築物である多聞櫓も正月は閉まっていてそれもあるか、広い城址が閑散としている、熊本城が正月は無料解放して賑わっているのと好対照だ。昔福岡にいた頃は福岡城址を誇らしく思う雰囲気はここには無かった様に思う、僅かな櫓しか残っていない情けない
城だとの空気があった。正月に閉めてあるのを見るとまだそれが続いているように思える、多くの人に是非見て欲しいという心意気が無い。今回の旅で松山城、熊本城、そして福岡城と図らずも3つの城を巡った。福岡城の城郭は城跡全体が復元建造物で覆われることもなくそのままの姿で歴史を語っている所が素晴らしい、つわものどもの夢の跡そのものだ。天主跡は石組みだけで十分な高さがあり市内を一望できる、そもそもこの城の天守閣は江戸の初期にはもう無かったといわれるが、無くても十分な気もする。飛鳥・奈良時代より大陸との玄関口であった鴻臚館の脇に位置していて、古くから政の中心であった場所なのだろう。恐らく城の下にも更に古い遺跡が眠っているに違いない。(賑わう熊本城のように)ここに城を再現させようという動きもあるようだがそんなことをする前に徹底的に掘るべきなのだろう。城の建造物はこの場所を巡る大きな時の動きの一時の有様でしかない、江戸の一時期だけに固着した風景にしてしまうのは如何にも惜しい感じがする、このままがいい。
旅するとその場所に立てることそのものに価値がある。福岡城三の丸が面していたはずの大濠公園でユリカモメと戯れながら、海からの風を感じるこの場所が今も時の流れをころがり続け 貴重な物語を語り続けている、そんなことをぼんやりと想っていた。
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