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2010年1月14日 (木)

杉浦非水

寒い寒いと思って北極振動指数を見ると図を振り切れている、こんなのは見たことが無Aoobs1 い。北極上空の気圧が高くて寒気が半月くらい噴出し続けている。この週末は収束方向に動くようだから来週になれば一休みか。
日曜日に、寒いと家に閉じこもるのも運動不足だとばかり市立美術館にでかけた、絵を見終わった後に美術館を取り巻く広大な雑木林を散策するといい運動になる。
美術館の方の出し物は杉浦非水という戦前から三越の広告や包装などのグラフィックアートを手がけている人の作品展だったが全くその名を知らなかった、しかし見ていくとそのおびただしいデザインアートに圧倒される。明治の初め松山生まれというから遅れてきた坂の上の雲だ。それにしても子規といい漱石といい秋山兄弟といい松山という土地は明治の時代の人がこうも行きかうのが不思議になる。コンパクトないい城下町だったのだろうがちょっと辺鄙だ、しかし当時汽車はまだ東京までつながらなくとも海が繫がっている、穏やかな海はどことでもつながる、海運がキーだったのだろう。
やはりスケッチがいい、いいスケッチがいい図案の基本だ、それを強く認識して昔からの図案の手本から脱却した、そこがこの人の存在を強烈にしている。人物のスケッチがとりわけいい、見ると一発で描いている、こんな風に描ければと思うがとても描けない、どこか北斎漫画を思い起こさせる、北斎のプロフェッショナルな技も絵を描くということでは時代に関わりの無い共通の技なんだ、と感じてくる、当然のことなんだが。
02title更に見ていくと目くるめく多量の植物の絵にでくわす、植物の絵は正確で繊細で写真よりよくわかる、当然のように図鑑の絵も手がけていて見の周りにある本の図版がどこかで非水につながっているかもしれないと思えてくる。鳥も描いてはいるが数は少ない。どうも鳥は今ひとつだ、アカゲラを描いたものが絵葉書としても売られているがなんか違う、野生が削がれ装飾的な雰囲気が感じられて買う気になれない、こんなプロフェッショナルな人でも野鳥はなかなか捉え切れないところがあるのか、かえってどこかホッとする。
見終わって林の散策に入る、コゲラやヤマガラが冬の枝に現れいかにも冬木立の風情だが、そのうちやや大きめの茶色っぽい鳥が斜面の草に降りている、もしやと思ってポケットに入れてきた小型の双眼鏡で見るとトラツグミだ、光線が良くて美しい、カメラを持って来れなかったのが悔やまれる、しかしこんなもんだ見れただけで幸運だ。おとなしくしているので暫く眺め続ける、と後から犬を連れた家族連れがやって来たところで これまでと飛び去ってしまう、どうやら2羽居たようだ。こんなところにトラツグミがいたとは と ちょっと得した感じだが非水の鳥の絵がいまいちだったのを補ってくれたようで、成程、と勝手に納得してしまう。
来週後半は春のような暖かさになる予測だ、寒い冬もそう思えば楽しんでおかねば、と思えてくる、枯葉の落ち切った寒い冬も捨てがたい。

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