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2010年2月27日 (土)

ヒマラヤの気象

少し前の雑誌岳人を見ていたらヒマラヤ登山に気象支援が不可欠になっているという話が出ていた。
ヒマラヤ登山という一握りの冒険家達の楽しみをツアービジネスが多くの人に解き放たつようになってきたが 厳しい自然とじかに向き合う高山の気象は平地とは違う、リスクを減らす手段が今まで以上に求められている、一方では 6時間おきに配布される高層を含めた全地球気象予測データGPVを使えば 世界のどの地域についてもかなりの精度で天候の予測ができるようになってきている、通信は衛星電話が普通にレンタルでき世界のどこからでもヒマラヤ登山中のパーティーに最新の情報を送り込める時代でもある。確かに需要と供給側の技術がマッチしてきているようだ。
手元で全地球GPVデータからの切り出しプログラムが動くようになったので試しにヒマラヤのエベレスト付近の気象を出してみる。ここ数日は風がそれほどでもない、エベレスト山頂でも15-7m/sくらいだが来週には50mを越す日もある、こんな日にアタックしてはとても耐えられないだろう、ジェット気流の山塊への当たり具合がヒマラヤの気象の大部分を握っているように思える。より現実的な予測には現地の状況と高層データとHimarayの関連の理解が必須だが、とりあえずはインド気象庁の衛星画像を見るしかない、SYNOPのTingriの観測値も参考になりそうだ。暫く眺めてみることにしよう。今日は風が弱いが5000m以上にやや雲が出そうだ。
栃木の山の天気を見てみても、例えば霧降の上部にかかる雲の具合はなかなか推定しにくい。風がキーであることは明らかで南風で低層が湿っていると山の斜面風で山には霧がかかる。富士山にかかる笠雲のようで、同じようなことがヒマラヤでも起こりそうだ。中禅寺湖であればいろは坂の上で食い止められて上は霧が無い、こんなこともありそうだ、山岳部は地形の影響が大きい。

趣味としての気象予測の技術が旨く人の役に立つことがあるのではないかと思っている、何でもビジネスにという雰囲気がこんなところにはいつも感じられるが、所詮人は人の役に立つために生きている、趣味の世界の別の趣味の世界への際限ない拡大が実は一番面白いような気がしている。

ヒマラヤは気象でなくとも確かに引き付けるものがある、トレッキングツアーで行って見るのも魅力的だが 世界が違うようでたどり着けないような気がしている。しかし いつかはトライするリストに入れておくか との内なる声のささやきが聞こえる、いつかは、か。

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2010年2月21日 (日)

2010年桜開花予想-宇都宮

2010年は気象庁は桜開花予想を発表しないという。そうなればなおさら予想してみたくなる。昨年までの宇都宮の桜開花についての手元推算(温度換算日数法)と実際の結果の比較からは、平均温度が正しく推定されればほぼ合うことがわかってきた。それではと今年の推定を行う、2月20日までは実測気温を入れそれ以降は長期予報の値を参考に平年値+1℃を入れてみると、桜開花日は宇都宮で4月1日となる。今年は寒い日が続いたような気がしていたが、実測値をグラフにして平年値と比較すると、むしろ暖かい日が多い。雪が降ったからといって寒いとは限らず曇りの日が多いと放射冷却が少なく却って平均気温としては上がるようだ。今後平年+1℃というのはいい線かという気もする。年中行事のようだがどうなるか楽しみだ。こうしてまた過ごせる冬の回数が減っていくのもいとおしくもあるが。

2010kion

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2010年2月17日 (水)

風邪を引いて

また雪だ。
D1010156 庭のモグラが暴れまわってモグラ塚をあちこちに積み上げている、困ったものだが寒さでミミズもなかなか動かなくなって餌がなくなったか、生きるためだろう、モグラなりに努力している様で、まあしょうがない。しかしモグラも変な生き物だ、土の中にも生きる面白さがあるのだろうか。
それにしても寒さが続く。それもあってかちょっとした風邪を引いてしまった。熱も無くてインフルエンザではないようで、診療所でクラリシッド錠をもらってのんでいるがなかなか治らない、古典的風邪ウイルスにも新しい薬に対する耐性ができてきたのだろうか、これでは週末も屋外を歩き回るわけにも行かないかもしれない。新型でなくともただの風邪をキッチリ治せるように早くならないかと思う。
ダーウインの”種の起源”は実際には読んだことが無かったが 新しい訳(渡辺政隆訳)の文庫本が図書館にあったので借りてきて少し読んでいる。自然淘汰に対する反論への論駁が中心のようにも思えるがスパッと切り返した書き方ではない、なかなか難しい表現だ、全部を無理に説明しきることが無いのが真実味を感じさせるといえばそれに近い。言い切っていない分、150年前の書にしては今読んでもおかしくない。読んでも 何故現在の生物がこのような姿・器官を持つに至ったか、モグラは何故モグラなのか、解ったような気がしない。ネットで少し見てみても、現在でもクリアな説明は無いような気がしている。そのうちに生存環境も含めた進化のシミュレーション計算が分子生物学に基づいてキッチリできるようになれば もう少しハギレが良くなるかもしれない、まだまだ先は長いような気がしている。
風邪のウイルスも短い間に進化しているようだ、寒い冬にはまた進化の歯車がギシッと音を立てているような気がしてくる。

生きているものについては解らないことだらけだ、だから面白いのだろう。

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2010年2月12日 (金)

ダークマター

また雪が降っている、菜種梅雨の魁となる前線が横たわっていてこれに北風が吹き込んで雪を降らしている。上空に逆転層があって結晶のある雪ではなくて雨が落ちてくる途中で凍ったようなシャーベット状の雪が降っている。春の前触れのような雪だ。
雪空では無理だが少し前までは良く晴れた夜空が続いていた。日が暮れてくるとこの時期東南の空にシリウスが上ってくる、やや遅れて更に左手から火星が昇ってくる、青白い光とオレンジの光が寒空に親しみを与えてくれている。火星とシリウスの中間にプロキオンも見える、オリオンのベテルギウスとで冬の大三角となるのだが”大”というのはちと大げさだ、でも冬らしい夜空だ。
寒い夜空に星を見る気になったの晴れた星空の美しさばかりのためではない、年末に手に入れたDSソフトの星空ナビで今見えている星の名前が解るようになったからでもある。ソフトといっても中にジャイロが仕込まれていてDSを向けている方向が解るようになっている。昔ながらの星座早見板は暗闇で使うには明かりがいるし明かりをつけては星は見難いという本質的な問題があって旨く使えなかった、これなら使える、ただ難点は向けた夜空を示すしかけから上向けて使わねばならず手が疲れる点にある。でもとにかく夜空が解る。なかなかだ。解ることで世界が次第に開けてくる、解る事がキーワードだ。しかし寒い、この時期せいぜい15分が限界だ。
夜空といえば最近ダークマターというのが気になっている。宇宙論というのは難解なイメージが強くて暫くはのぞいてみる事も無かったがそろそろ先が見えてきたかと少し調べると ここ10数年ほどの間に発見と理論の進歩があったようだ。宇宙を構成する要素で我々が認知できる原子による部分は僅か5%しかなく のこり95%は観測できないダークマターとダークエネルギーSpace100_030 で成り立っているらしいということが解ってきたようだ。ダークというからスターウオーズにでも出てきそうな怪しげな理論かと思っていたらどうやら今は本流のようにみえる。要するに宇宙のことは何もわかっていないに等しいということが解ってきたということらしい。未知の 原子で無い物質 というと質量のある発見できていない粒子が多量にあるということだろうか良くわからない、ダークマターを何とか直接観測しようという試みも神岡の地下で始められる、まだまだ先が長い気がするし本当はダークマターもダークエネルギーも無いのかもしれない。19世紀末のエーテルのようにその非存在が証明されて新しい物理学を生む可能性だってあるようにも思っている。しかし宇宙の成り立ちは理解したい、まやかしのような宗教的説明ではない現実を理解したい。解ってどうするということではなくて、解ることそのものが大事だ。
雪空も来週には晴れてこよう、夜空を見ているとダークマターにあふれているいないに関わらず 宇宙の中に漂っているという現実を今更のように認識させられて、それが新鮮な目を与えてくれるようだ。

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2010年2月 5日 (金)

アフリカにも

寒い。庭の温度計は昨日の朝はマイナス7℃だった、切れ込むような寒さだ。
こんな日は好きなシャーディーのCDなんかを聞いてアフリカの風を感じながらぬくぬくとしているのが一番だ。シャーディーはもう随分CDをリリースしていないと思っていたら間もなくSoldier Of Loveというの出すようだ、それにしても少ない、マイペースなんだろう、Sade Aduはナイジェリア生まれだからだろうか。
また航空機事故だ、今度はレバノン沖でエチオピア航空の737-800 ET409便がベイルートの国際空港をアジスアベバへ向けて離陸直後に墜落した。1月25日0時30分GMT頃に起こっている。レバノン政府は早い段階でテロの可能性を否定、またエチオピア航空はアフリカのエアラインの中でも最も安全管理がしっかりしていて殆ど事故が無く整備不良と考えにくい、ということで今のところ気象が最も疑われている。当時は激しい雷雨で離陸直後に機体が被雷したと言われている、空中での爆発的炎が目撃されているようなので、燃料タンクの耐雷性が問題となってくるかもしれない。フライトレコーダが回収されれば原因はそのうち明らかになろう。当時のベイルートEt409 の気象はMETARをみてみると(METAR OLBA 250000Z 31008KT 280V340 8000 VCTS FEW020CB SCT026 13/06 Q1014 NOSIG)で2000ft雲低の積乱雲あり5-10nmの距離で雷光ありで荒れたMETARだ。目撃情報ではひどい雷雨だった、とある。衛星写真では大規模な雨雲の塊は無く本当に局地的な積乱雲のようだ。2007年ケニア航空の737-800もカメルーンで離陸直後に良く似た気象状況でEf4091 墜落しており、原因が気象にありそうだが、これを乗り越えられない耐雷性の弱さが疑われるように思う。もっとも、雷自身も、冬の富山沖に発生するようなエネルギーの強い低高度の雷かもしれない、どこでも同じ雷と思ってはいけない、熱い地面にこの日北からの寒気が降りてきている、想いをはせるとはじけるような雷の音が響く。

レバノン沖はもうそこがアフリカだ、そこにはアフリカの風があるのだろう。

アフリカにも一度行って見なければ、なんとなくそう思っている。

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