ヒマラヤの気象
少し前の雑誌岳人を見ていたらヒマラヤ登山に気象支援が不可欠になっているという話が出ていた。
ヒマラヤ登山という一握りの冒険家達の楽しみをツアービジネスが多くの人に解き放たつようになってきたが 厳しい自然とじかに向き合う高山の気象は平地とは違う、リスクを減らす手段が今まで以上に求められている、一方では 6時間おきに配布される高層を含めた全地球気象予測データGPVを使えば 世界のどの地域についてもかなりの精度で天候の予測ができるようになってきている、通信は衛星電話が普通にレンタルでき世界のどこからでもヒマラヤ登山中のパーティーに最新の情報を送り込める時代でもある。確かに需要と供給側の技術がマッチしてきているようだ。
手元で全地球GPVデータからの切り出しプログラムが動くようになったので試しにヒマラヤのエベレスト付近の気象を出してみる。ここ数日は風がそれほどでもない、エベレスト山頂でも15-7m/sくらいだが来週には50mを越す日もある、こんな日にアタックしてはとても耐えられないだろう、ジェット気流の山塊への当たり具合がヒマラヤの気象の大部分を握っているように思える。より現実的な予測には現地の状況と高層データとの関連の理解が必須だが、とりあえずはインド気象庁の衛星画像を見るしかない、SYNOPのTingriの観測値も参考になりそうだ。暫く眺めてみることにしよう。今日は風が弱いが5000m以上にやや雲が出そうだ。
栃木の山の天気を見てみても、例えば霧降の上部にかかる雲の具合はなかなか推定しにくい。風がキーであることは明らかで南風で低層が湿っていると山の斜面風で山には霧がかかる。富士山にかかる笠雲のようで、同じようなことがヒマラヤでも起こりそうだ。中禅寺湖であればいろは坂の上で食い止められて上は霧が無い、こんなこともありそうだ、山岳部は地形の影響が大きい。
趣味としての気象予測の技術が旨く人の役に立つことがあるのではないかと思っている、何でもビジネスにという雰囲気がこんなところにはいつも感じられるが、所詮人は人の役に立つために生きている、趣味の世界の別の趣味の世界への際限ない拡大が実は一番面白いような気がしている。
ヒマラヤは気象でなくとも確かに引き付けるものがある、トレッキングツアーで行って見るのも魅力的だが 世界が違うようでたどり着けないような気がしている。しかし いつかはトライするリストに入れておくか との内なる声のささやきが聞こえる、いつかは、か。
| 固定リンク
コメント