空気の理論
WOWOWでオスカーの授賞式を、今年はなんだか面白い、と見ていたら司会のスティーヴ・マーティンとアレック・ボールドウィンが掛け合いでキャメロンとキャスリン・ビグローの元夫婦対決を揶揄って、ビグローがキャメロンに時限爆弾の贈 り物をしたらキャメロンはお返しにトヨタ車を送ったとさ、とや っていた。トヨタバッシングもアカデミー賞の場まで及んだか、やっぱり日本とは随分な温度差だ、しかし陰鬱なところがなくてあっけらかんとして憎めないところがいいか、と思ってしまった。ともかくシンドラーエレベータ状態なのだろう。
今年のオスカー受賞者には日本人が登場しない、ノミネートにも上がっていないようだ、去年は外国作品と短編アニメで受賞が出たというのに、だ。トヨタバッシングといい、和歌山・太地町の血みどろのイルカ漁のドキュメンタリー賞受賞といい、なんだか空気が変わったようだ、アメリカが自信を取り戻しつつある気がする。
アメリカの経済は懸案の雇用がやっと回復の動きとなった、今まではレイオフが減ったが雇い入れはない、という怪しい回復だったが2月から雇い入れが増えだした、なんとなく元気を取り戻し始めた空気が伝わってくる。
不況になると、物事がうまくいかなくなる、直接かかわりがあるとは思えないことに問題が発生する。目の前の航空宇宙の世界を見てみても、どうみてもそれは明らかだ。前回の日本の失われた10年では国産ロケットの失敗が次々に起こった、それぞれは独立した事象なのに一度に起こってきた、そして不況の終わりと共に全ては順調に行き始めた。今度は米国では787の開発が難問続きとなり初飛行がとんでもなく遅れた、リーマンショックの起こったその時にはこれとは関わりの無いボーイングの組合の長期ストライキさえ発生して航空機の生産が止まった、更にアメリカの政府調達の航空機開発に次々とキャンセルや選定の取り消しが出て身動きできなくなった、勿論それぞれは何の関わりもないのだが時期を同じくして具合の悪いことが折り重なるように起こる、どうみても不況には空気がある。このところ問題が次々に片付き始めている、787は順調に飛び始め、欧州のこじれていた輸送機A400M開発もやっと目鼻がつき、大統領選までからんでいた米空軍のタンカー機調達も整理がついてきた、いろんなことがするすると解けはじめている、不思議な思いだが、これが不況の終わりなんだろう。
地球を取り巻く薄い空気層の底で 地球に取り付くカビのようにしてうごめく人類の活動がわけも無く繫がっているのは考えてみれば当たり前のようで、いつかはこの伝染のようなつながりを解明してくれる空気の理論が登場するに違いないと思えてくる。まだまだこの世界はわからないことだらけだ。
| 固定リンク
コメント