何の構えも無い普通の農村風景が
はっきりしない天気の週末で日曜は雨のはずが南の雨が北関東まで届かずどんよりとした曇りだ。なんだか近頃は天気の予測も確率が下がっている。
遠出するにも時間が遅くなってしまって、しかし閉じこもってばかりも居られないと 以前か
ら少し気に入っている散歩コースの西下ケ橋周辺に行ってみる。朝日新聞が130周年記念事業の一つとして日本の里100選を選定した際に選ばれた場所だ、栃木県にはここともうひとつ茂木の棚田が選ばれただけだ。ごく普通の農村風景にきれいな小川が流れていてバイカモやカワニラが水の中で揺れているだけ と言ってしまうとなんだということになる。この佇まいが日本の100位以内に入るまでのことかと思うが、日本の田畑の多くが作物工場のようになってきて作物以外の生き物をはぐくむ場ではなくなってきているという認識の裏返しのようで 朝日の選ぶ というと何か納得ができるような気もする。地元も手を入れてきていて、ともかく散歩するにはいい、とりわけ水量豊かな小川がいい。と思って歩いていると何か以前ほど良さを感じなくなっている この時期というのに鳥が少ないためばかりでもないようだ、もうひとつ物足りない、選定されたということもあってか作られた雰囲気が出始めていて、構えたところを感じさせ始めている、手が入るにしたがって何かが少しずつ壊れてくるようだ。難しい。
戻って自宅付近の姿川沿いを少し歩く、こちらはいつも普通の鳥がいるところだが、この日も低く川面を飛ぶ若いツバメや田んぼの中で過ごすカルガモややたら数の増えたムクドリ、スズメ、それにセグロセキレイの若鳥などが見られて、珍しくも無い鳥が次々に現れる、それがいい。勿論ここは何の100選にも入っていない、作意が無い。何の構えも無い本当に普通の農村風景が却って安心感を与える、それで十分な気がしている。
構えがあろうと無かろうと田植えを終えた水田の青々とした整列や麦の穂の揺らぐ様は素直に美しい、日本から静かに工場が去っていき都市化の波が収まる、低成長も悪くない。姿川はいつになく水量が多くひたひたと迫る雨の季節を感じさせてくれた、もう6月だ。
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