今年の粟島は
2日ほど前の昼下がりぱらぱらと降った雨がどーんという雷を響かせる、突然の雷鳴はいかにも五月らしい、不順な天気が続くと変な天気にうんざりしてくるが、この雷はいつもの五月の天気だ、冷たい上層の寒冷渦に暖かい南の空気が差し込んでいきなりの雷雲となる、春もそろそろ終わりだ。
連休に旅した粟島の録音や写真を整理している、特に録音の整理はやっかいだ、島の録音は風が強くて雑音除去が大変だし取りきれない、いいかげんなところでCDに焼いてクルマで流す、不満が相当に残るがその時の世界が繰り返し再現されて、それがいい。
今年の粟島はオオルリがやたら現れた、しかし1羽も なかない、キビタキやアカハラは啼いているというのに、おかしい。繁殖地でもない通過するだけの島では啼く必要が無いというのは解るがそれにしてもドライだ、オオルリにもなにか意地があるようで面白い。粟島は普通の畑でやたら野鳥の密度が高いが、去年とまた雰囲気が違う、あんなにいたマヒワが今年はとんと見ない、北の岬ではヒヨドリは少なくはないが去年のように数百羽の群れがトグロを巻くようにはならない、そのかわりアカハラやクロツグミが目に付く。北へ帰るアトリやツグミは凡そ同じようだが南から渡ってくる鳥が多いような気もする。暖かい去年より渡りの時期を少しずつずらしているようだ。この時期長く滞在すると移り行く鳥の姿がきっと面白いだ
ろう、しかし旅人と旅鳥のつかの間の邂逅という間合いが何ともいえない、訪れる人一人一人が違う鳥に出会う、それがいい。渡りの途中の栄養補給だけに餌の得やすい野菜くず捨て場のようなところに美しいオオルリが居たりする、アカハラ類はツル性のキヅタに集まってしきりに実を食べている。普通は山にしか見ない鳥がそこら中に居る。それにしてもよく渡る、クロジョウビタキのようにどうみても1羽だけの迷い鳥もいる、10数センチの小さな鳥が上昇気流も使わずに夜間ひたすら海をはばたき渡る様を思い描く、楽な渡りではない、映画wataridoriとはまた違った世界があるようだ。柔らかな、どこかもろいところも感じる鳥達が目一杯生きている様はいとおしくもある。
島から戻って数日後の早朝、日光の山麓に録音に出かける、うるさいばかりのクロツグミやキビタキや見事なオオルリの声がなつかしい。やっとたどり着いた安住の地でのびのびしているように思えてくる。
もう梅雨の季節が見えてきている、流れるような時の移りが楽しくも忙しい。
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