クマに出会う
4日前に戻ったカナディアンロッキーの旅は思い出すことがあまりに多くて書ききれない気がしている、こんな旅は久しく味わったことがない。少しばかり時間を長く生きたようだ。
ジャスパーの近くまで走ってきてなんとなく これでもか、の岩山の景観に少々飽きを感じてきた頃だった、宿に着いた、Jasper House Bungalows という、前に読んだ旅行 記に出てきてこれは良さそうだとメールのやり取りを何度かして予約しておいた宿だ。アオーネ白神のような完全な一戸建てではないが独立性が高い別荘風だ、キッチンもあって簡単な調理もできる、一人一泊1万円位なのでこのシーズンにしては割安感がある。なんだか落ち着く、アサバスカ川の畔にあってあたりを散策するのも気持ちがいい。
一休みしてジャスパーの街に出かけて驚いた、クルマだらけだ、路の両側にびっしり路上駐車している。駐車できなくて駐車場所を探すクルマがゆっくりと走り回っている、こちらも路地に入ったり適当に走ってみるが駐車できそうにない、あきらめて、路上駐車のラインが切れるところまで行って路肩に停める。小雨模様だがしょうがない、小さい街だ、歩けばいい。夕食は歩き回って見つけたカナダ料理のFiddle Riverという店でアラスカキングクラブを頼む、他にも適当に頼んでシェアするが、カニは太くてなかなか食べ応えがある、これはいい、カナダはアルバータ牛もいいが海のものもかなり旨い、いいところだ。スーパーも明るいので遅くまで開いていて朝食用にパンやらハムやら野菜やらを買い込む、もう少し長く泊まるようにしておけばよかった、と悔やまれるが今更遅い。旅は難しいところがある。
ジャスパーは落ち着く、宿が良かったのかもしれない、何もしなくてもいいや、と感じてくるのがいい。
ジャスパーの少し北のマリーン渓谷のはずれでクマに出会った。#6の橋のあたりを川に沿って散策して砂州のところでのんびりしていたら、あなたクマよ、との声。声のほうを見るとブッシュからブラックベアが出てきた。20mくらいしか離れていない、間には浅瀬を流れる小川があるだけだ、その気になればすぐに渡れる、これはマズイ、なんとなくクマも人が居なくなって欲しくて出てきたようなところを感じさせて、とにかくこちらはソサクサと退散する、後ろ向きにあとずさりするなどとてもできずにすぐ後ろの木立の中へと立ち去る、道も 無いところ歩いて#6の橋に戻る、丁度レインジャーのような人が居て、こちらをみてクマが出たのか、と話しかけてくる、よほど慌てた風情だったのだろう、聞かれるままに細かく場所や状況を説明すると礼を言って去っていったが、ハイカーに注意するのだろうか、多分よくクマが出るとみえる。
カナディアンロッキーではいろいろな動物に出くわすと聞いてはいたがクマとは驚いた。ここまでは他にはミュールシカとムースシカとおぼしきシカに出会ったくらいだった、日光と大して変わらないような気がしていた。ちゃんと応えてくれるところがいい。
日本に戻って写真を見直したりビデオを眺めたりしてまだまだ抜けきれないでいると、たまたまつけたNHK-Hiでカナディアンロッキーを2時間ばかり流している、この時期はここが注目される季節なのだろう、なんだかまだ深まっていくような心地で後引いている。この余韻が何ともいえない。
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