難しい時代は
ラフマニノフのピアノ協奏曲2番が流れている、頭が動かない時に何故か丁度いい感じがする、あまり考えなくていい曲のような気がしている。
経済の回復の滞りが世界のあちこちで起こっているようだ。アメリカの金融バブル崩壊以後、需要の急落で企業はとにかく人件費を削ってリストラして経営を立て直した。巷には失業や低賃金が溢れ奇妙にも企業だけがあだ花のような繁栄を取り戻したかに見えた、しかし雇用が戻らなくては消費が戻らない、そんなに旨くことは運ばない。人件費削減の持つ一つの結末を長引く需要の低迷として今目の前で見ている思いだ。因果は巡る。以前より企業は在庫を持
たないスリムな経営こそが善だとしてこぞってジャストインタイムや1個流しに走っていた、需要の激しい変動の波がダイレクトに製造ラインやサプライヤーの稼動に伝わる、振れが大きくなるのを少ない人員で立ち向かう、無理が来る、アウトソーシングでの変動の吸収に頼るしかなくなる。不調になれば派遣切りが横行し失業が増えて需要の山谷は増幅される。ここでも因果は巡る。日本では こんなサイクルにはまってもがいていた企業に政府・官僚は派遣法に改正を重ね、派遣はやめろ とにかく雇用しろと迫る、経済のダイナミズムを変えずに出口で無理につじつまを合わせようとする、なんだか無茶だ、企業の力が衰えていく、官製不況の一面も明らかにある。30年以上前の古典的労働形態に戻れといっているようだ、世界に対抗してそれでは持たない、セーフティーネットの徹底した整備が本当は必要なのだろう。欧州もモデルになるほど旨くはいっていない、政治家やマスコミは怪しげな北欧モデルに幻想を抱く、が どこにもトータルとしての手本は無い、ともかく全体システムの力学を尊重しなくては支えられない。これは暫く難しい経済の状況が続きそうだ、しかし100年もすれば少しはカタがついているだろう、どういう形であれ。
流れている曲はラフマニノフ自身が1929年に演奏したものの録音だという。演奏するには難しいといわれるラフマニノフも作曲者自らの手によるとあっては聴く分には頗る心地がよい、難しい時代はただただ聴き手としてやりすごすしかないようだ。
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