航空機事故が続く
この1ヶ月あまりの間に、航空機の大きな事故が続いている。中国のE190の着陸事故、ネパールでのDo228の墜落、コロンビアの737-700の着陸事故、アラスカでのDHC機の墜落、パキスタンのA321の着陸中の墜落、と5件もの死傷事故が起こっている。それぞれを追いかけると悪天候にインフラが不十分な空港周辺の事故、という共通点があるようだ。最も最近では24日、中国黒龍江省で河南航空の100人乗りの旅客機エムブラエル
E-190が着陸失敗で炎上大破した。伊春市の伊春林都空港の手前約1.5kmで接地して42人が死亡している。24日21時36分頃(13:36GMT)という。空港は2009年9月に開港したばかりで滑走路は2300m、計器着陸(ILS)地上設備は無い。河南航空はこの路線を8月7日に開いたばかり、事故当時は霧で視程300mだったと伝えられている。24日1200GMTの伊春のsynop気象 data では気温17.1度 湿度97% 風1ktだから地表では霧が出ていたとも見られるがdataからは視程は10km 雲量は2/8,雲低は1000-1500mありもう一つイメージが合わない、進入経路上に低い雲があったのかもしれない。空中で爆発したとかオーバーランしたとか間違った報道がいくつも流れていたので視程300mという報道もきちんとした報告が出るまで信用しないほうがいいかもしれないが、地形としていかにも霧が出そうではある。計器着陸(ILS)地上設備が機能しないまま、無理して夜間の着陸を視程の悪い状態での有視界飛行で行おうとして起こった事故、と考えるとそれらしくはある。いずれにせよ急速な航空需要の伸びに飛行場、航空会社のパイロット・運行を含めたインフラが追いついていない中で起こった事故のように見える。伊春空港は夜間の運行を基本的に制限していたようなので中央政府の押さえが効かなくなって来ていることの現われのようにも思える。
パキスタンの墜落事故も似たような雰囲気が感じられる、こちらは雨の中イスラマバード空港に緩い背風状態で計器着陸(ILS)地上設備のある側の進入パスで降りてきたA321が背風が強くなり管制塔から逆向きに進入するように指示されて(逆側にはILS地上装置はない)止む無く逆側へ回ろうとしてやや高度の低いまま北側に回りこんだところで北側の山にぶつかって落ちたものと思われる。やはり低い雲がでていたようで視程が悪く、パイロットエラーの可能性が高い。しかし、そもそも滑走路の両側にILS装備があれば最初からこんな経路の変更はなかっただろうと想像される、飛行場インフラが完備されないままに路線が急拡大されている様が浮き彫りになっているように思える。
24日ネパールでDo228が堕ちた事故は天候の要因がやや強い、ヒマラヤは雨季に入っており一般に天候は雨模様なのだがこの日は特に雷雲が広く発生して活発で、事故機は
カトマンズ空港を離陸してルクラに向かうが(そもそもルクラの空港は滑走路も短く(530m!)設備も貧弱で地形的にも条件が悪く天候が少しでもおかしくなると降りれなくなるといわれているようだが)、天候不良でルクラに降りられずカトマンズへ引き返したがこちらも雷雨が強く降りられず、南の少し離れた別の空港に向かったところで堕ちている、想像では積乱雲に囲まれて逃げ道を失い無理して積乱雲を突破しようとして堕ちたのではないかと思われる。ルクラが難しい空港にもかかわらずカトマンズを離陸してしまったことが問題だったのだろう、天候を待つべきだったとの感じがする。
南米コロンビアで着陸失敗で胴体が3つに折れた737-700の事故も天候不良が原因と見られている、こちらは着陸中(接地後)に雷に直撃されたと言われている。この空港もインフラ不十分でILSが無い、本来ならば着陸できるような気象条件ではなかったのかもしれない。
世界不況で縮んでいた航空需要が急速に回復している中での事故だけに、いずれの事故もほぼ満席では無理を承知で飛ばさなければならない無形の圧力があったようにも思える、今年のやや異常な気象も関係しているようだ、重なるように起こっているところがもう無理が効かなくなっている人の営みへの自然の警告のように思える。自然とはもう少し旨く折り合いをつけていかなければいけないのだろう。まだ続くだろうか。
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