ソ連のかすれていく時間の感じが
秋らしくなって雨の日が多くなる。
雨が降ると美術館に足が向く。何でもいいやと宇都宮美術館に行ってみるとソ連の画家の展示をやっている、ロトチェンコ/ステパーノワという人の作品だが無論聞いたことが無い、入ってみるとそれなりに観客はいる。ロシア構成主義とのタイトルがついている、描き上げるのでなく寄せ集めて構成するということのようだ。
見ていくと明らかにソ連の革命という時代に乗っているのを感じる。20世紀始めの 流行でもあったかのようなキュビズムからグラフィックアートの世界に変わっていき、それに合わせるように国家の体制の中にポジションを固めていく。体
制側に立ったアヴァンギャルドではインパクトも受けない、プロパガンダではないのかとさえ思えてくる。
それにしてもソ連という時代が随分遠い過去に飛び去ってしまっているのを感じる、ほんの20年前まで確固とした勢力を感じさせていたのにだ。そのかすれていく時間の感じが何ともいえない。ロトチェンコ/ステパーノワの作品にもそのもやのような霞を感じてしまう、否定された時代というのはそういう雰囲気を漂わせるのだろう。
そろそろ庭にジョウビタキの声が響いても良さそうだが、と心待ちにしている、今を過ぎるリアルな時の流れが薄暗くなる秋の日の下でも生き生きとして感じられる、目の前の今がいい。
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