沖縄は特別だ
11月の終わりに沖縄を訪ねた。3年前にも訪れた冬の沖縄の心地よさが心にあった。とにかく前回いけなかったあちこちを走り回ることにしていた。世界遺産の城跡が幾つかある、有名な水族館もある、辺戸岬から北部を一周したい、ヤンバルの森もまた歩きたい、でき
ることならキャンプシュアブ沖も望んでみたい、勿論ヤンバルクイナやノグチゲラも見てみたい、色々思っていた。羽田発始発のJAL便で那覇に着いて10時にはレンタカーで走り始める。とにかく雨の降り出さないうちにと外を歩く今帰仁城(なきじんじょう)に向かう。本部(もとぶ)半島の小山の頂上部の岩を削って平らにした上に石組みだけで城壁を築いている、土塁に石をはめ込む本土の城壁とはまるで違う。それよりも何よりも見慣れない
鳥がまるでオオヨシキリのようにギョギョシギョギョシとあちこちで鳴いている、シロガシラのようだ、生えている木も全く違う、蝶もひらひら飛んでくる、前回よりも本土と全くといっていいほど自然が違うことを感じる、見慣れない草、木見慣れない花見慣れない蝶、見慣れない鳥、そして見慣れない城壁。外国に来たような気分になる。沖縄本土の生き物を書いたハンドブックはどこにも売っていない、なんだか沖縄は大事な資源に気がついていないような気がする、一昔前の団体旅行相手の観光ばかりに力を入れている。城跡には立派な展示館があるが、今帰仁が「いまきじん」でなく「なきじん」なのか、素朴な疑問に答えてくれない。何か足りない。
美ら海水族館は確かに一見の価値がある、しかし人が集まり
すぎている、集めすぎている。グッズ売り場はゴッホ展並みの大混雑だ、その後に巡ったどの場所もこんなことはない、どこかいびつだ。
眺めるだけでも素晴らしいサンゴ礁の海、基地によって基地のために立派に造られた道路、基地よって潤う街、南部と北部の街並みのあまりの落差、全てがどうしようもなく刺激的なのに、とどまればゆったりした風が流れる。不思議なところだ。ヤンバルクイナにはまた会えなかったけれど、ノグチゲラのチラと見せてくれたそれらしい後姿、遊佐丸が築いた座喜味城、中城城の城壁の内地の城とは全く違う緩やかな曲面の美しさ、斎場御嶽(せーふぁうたき)の理解を超えた聖域としての雰囲気とリアリティー、とにかく違う世界が広がる不思議がここにはある。
たった3日の旅だったが帰りついた翌日は頭がぼーとして戻らない日を一日過ごしてしまう、外国よりも落差があるような気さえしてくる、もう行くことは無いかもしれない、しかし何なのだろう、沖縄は特別だ。
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