四万十川を抜けて荒れた天気の旅を走る
宇都宮から福岡までこの数年年末にクルマで移動しているが今年は予想通りとんでもなく落ち着かない天気となる、寒気の張り出しが暖かい地方にまで及び不安定さを強調しているようだ。初日の25日は四日市を経て雪に驚きながら25号線を奈良へ走り薬師寺の新しい建物群や興福寺の阿修羅なんぞを見物して宇治まで移動 この日はなんとか無事終わる、それにしても不意打ちのような雪だ。次の日は宇治から淡路島経由桂浜を経て四万十川中流のホテル星羅四万十まで走るが結構な距離だ。松山では激しい雪で松山道が
閉鎖と高速道路途中で情報が流されており四国の西側はこの日特に不順な天気だ、東側の徳島でも低い雲が立ち込めるものの高知に入ると一変していい天気となる、高知は風下側の下降気流で雲は消滅するという事前の予測計算結果とよく合っている、少々怪しいと思っていたがそうなんだ、ともかく低い雲が主役で地形の影響が大きい。四万十川の愛媛に近い宿泊地ではまた雨模様に変わる、高知も西の山沿いでは西風を斜面に受けてどうしても雲が厚くなるようだ。
四万十川は予想していたような人里離れた自然の中の川ではなく、のんびりと流域の町々を抜けて流れていく、要するに里山の川だった、それも滅多に見ないほどの穏やかさだ、
上流で一旦海に近づく川というのも珍しい、蛇行ばかりでいやましに傾斜が緩い、川遊びが安全に出来るというものだ。川魚が面白そうで、鳥といってもサギやホオジロくらいで珍しい鳥が見られたわけでもない。ちょっとは変わったいい川だが普通の川との印象を受ける。
高知の見所の1位は四万十川で2位は桂浜だとガイドブックにある、とにかく両方とも行ってみたが、これが1位と2位では高知は売るものに苦心しているように思えてくる。竜馬が去るとさびしくなりそうだ。それにしても高知は四国の中でも他からはアクセスしづらくて独立心が育まれやすい成り立ちのような感じが漂う、それがいいところなのだろう。
次の日は宇和島経由佐多岬からフェリーで佐賀関に渡り熊本の小国の温泉に宿する。朝、ホテルで今日も松山道は閉鎖と聞かされる、どうなるか旅らしい不安だ。風も強そうだ、フェリー会社や宿に様子を携帯で聞きながらみぞれ交じりの四国路を走る。愛媛に入って宇和島から北上するが雪は案ずるほどでもない、風もまだ強いもののフェリーは問題なく動いている。乗り場で九州自動車道、大分自動車道は大雪のため閉鎖と教えられる、着いても動けるか不安のまま予約の2時間も前の便だが前倒しでとにかく九州に渡る。うつらうつらして佐賀関に着いた頃には高速道のほうは大分から日田までは開通したとわかる、除雪の努力が急ピッチで進められているらしい、宿は日田の手前から一般道で熊本側へ峠を越えたところだ、不安はあるが一応道は開けた、ともかく行けるところまで行こうと走り始める。大分道は十分除雪されていてチェーン規制も無い、気をつけながら
走ればどうということはない、高速を降りての峠越えもなんとか過ぎ結局宿への最後のアプローチ道路が一番凍結していた これもスキー場に行くくらいの感じでどうにかたどり着く。進めば道は開けてくると教えられるような旅だ。翌日の小国-菊池-熊本-福岡ルートは山道には融けかけた雪が残り、やっとの思いで降りてくれば15mを超える突風に大粒のにわか雨が降りかかる、寒冷前線のせいにするには余りに激しい天気だ、かいくぐるようにともかく福岡に到達する。
今年の冬はやはり大雪だった、つばめが例年に無く早く南に帰っていって、こんな年は大雪になるといわれていたがその通りだった、一方で長期予報で秋口から大雪を予測する声は無かった、まだまだ鳥たちの経験のほうがスーパーコンピュータを駆使した予測よりも信頼できるようだ、何しろ種としての命がかかっている、必死さの度合いが違うのだろう。旅をすると肌で学ぶことが多い。
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