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2011年2月 4日 (金)

一月がやっと終わり

寒い一月がやっと終わり春に向かって走る2月が始まった。

ipadがブレークして以来電子書籍がはやり始めたようだ、そうはいってもパソコンで読む本は今のところ青空文庫が一番便利なように思っている。タダだし内容豊富で気楽だ。今見ているのは寺田寅彦の雑文だ、昔読んだ時はちょっとかび臭いところがあったが、今読むと アインシュタインやら気象の話や紀行文やら色々あっTeradat てそれぞれに面白い、1930年代の時代の雰囲気が切り取られているようでそこが今となっては興味深く思えてくる。アインシュタインの話の頭には レーニンとアインシュタインをバードランドラッセルが現代で一番えらいといっているくだりがあって そんな時代だったのだと今更のように感じてしまう、本文よりそちらのほうが印象が強い。囲んでいる時代の雰囲気の現代から眺めるズレが時の流れを敷衍しているようでちょっといい、文章の面白さはそんなところにもあるのだろう。凍雨と雨氷の話も今からでは当然の理屈が説明されているが、最後に岡田博士の雨を読むべし、というようなことが書いてあり岡田博士とはどんな人だろうと思わせる、調べると岡田武松という気象分野の草分けでいかにも寺田寅彦が関わっていたような人物だ。日本海海戦の天気晴朗なれど波高しという台詞は岡田武松氏によるものだそうだ、坂の上の雲の時代だ。雨が解らないと長く雨の研究をしたようでもある。あちこち飛び火しながら本を読む、文字の中に遊ぶ感覚があってそこが寺田寅彦の文の味わいでもあるのだろう。こんな風に暇つぶしに読むのにはいかにもデジタルが向いている、乾いて読める。思い直すとデジタルな世界が本というアナログの世界に回帰しているように感じられてそこが面白いのかもしれない。

春の香りがかすかに流れて心が少し軽くなる、文字も僅かばかり楽しくなる。いい季節だ。

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