臨界点はいつ来るだろうか
米国のニュースで最近おやと思った話に ボーイングが工場の移設を国の機関であるNLRB(全米労働関係委員会)から訴えられた という騒ぎがある。ボーイング社がシアトル工場での長期ストに懲りてストがないことを理由に 新しい787
の組み立てラインをサウスカロライナ州に持っていったことは 労働法で保証している労働者のスト権を否定している、として 違法との判断のようだ。
こんなことでは企業はたまらない、との声もあるようだ。しかし確かにこのところの新興国の台頭によって国際的な価格競争が激化し労働者の立場が弱められてきていて,結果的に国内消費が弱められている、この世界的な大きな波を何とか押しとどめようとする国の意図があるようにも思える。グローバル化で日本の労働者の雇用条件も中国を始めとする新興国の賃金レベルと競争関係におかれていて、労働コストの安い大量の派遣労働者が産業を支えるしくみに変わってきている。米国でもリーマンショック以来失業率が一気に上がったが景気は回復しつつあるのに失業率は高止まりしている、雇用が米国から逃げ出して、人件費を削減することで企業はもとの繁栄を取り戻しつつあるように見える。歪みはたまる一方だ。インターネットによって価格の比較が容易に行えるようになって価格競争があらゆる分野で激しくなっているのも原因しているようにも思える。過当競争というべきだが安い人件費の国がある限り簡単には納まらない。職業に貴賎なしというが職業による身分社会になりつつある、NHKのニュース報道でも事件の容疑者は会社員といわず派遣社員という、派遣会社の会社員という認識はなく1ランク下だ、と公言しているような言い方だ。どこかで爆発しそうだ。ナイジェリアではないけれど爆発の仕方が解ればすぐに伝染するだろう。
ボーイングをNLRBが訴えたところで何とかなるとはとても思えない、臨界点はいつ来るだろうか、津波があっさりと原発を破壊したように突然世界のどこかに姿を現すのだろうか。ぎすぎす、と社会が地震警報のような音を立てはじめているようだ。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)