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2011年5月29日 (日)

T-tailのDeep-Stall

教えなければいけないということになって、このところ航空機の気になる話を見直している。そうだったんだ、ということを今更のように見つけて感心している。
T-tailのDeep-Stallという話題がある、話題というほど気安いものではない、事故で命がBac111 失われている。有名なものは1963年のBAC111のテスト飛行中の墜落事故だ。操縦不能のDeep-Stallに入って脱出できず墜落した。失速後 主翼及びリアマウントのエンジンナセルの剥離ウエークが水平尾翼を覆い 尾翼の効きを著しく奪ってパイロットによる回復操縦を困難にしたものだ。対策が施されて最近はもうこんな事故は無いと思っていたら、2005年にDC-9が明らかにDeepStallから脱出できずに墜落した話がウエブに出ている、この場合は積極的な頭下げの操舵をしなかったことが悲劇の原因でもあるようで操縦ミスらしいが、727も1度試験で(意図的に)Deep-Stallに入って操縦困難に陥っている。この時はロール舵を使ったら頭下げとなり脱出できたということのようだ。それで思い出されるのは全日空機の羽田沖墜落事件だ。結局事故報告書では原因不明とされたが、経緯がDC9の場合と似ているところがある。深い降下角から引き起こそうとしたら(バックサイドで)失速に入り更に操作を誤って引き起こし舵を緩めなかったためにDeepStallに入り脱出不能となり海面に激突したというシナリオだ。飛散状況からはそれなりの前進速度があったようだから完全なDeepではないにしてもStallだったことは十分想像される。この時期パイロット同士がスピードを競っており 着陸降下開始をギリギリまで延ばした結果もたらされた深い降下角による無理な着陸降下だったとの見方が当時あったように記憶している。
それにしても現代のビジネスジェットはリアマウントエンジンT-tailと揃っている、DeepStallの事故をきかないのは失速防止のスティックプッシャーが強力に働いているからだろう、失速警報センサーに連動して失速しそうになると強制的に操縦桿を押し舵にする装置だ。BAC-111もこの対策でその後DeepStallの事故は起こっていない。
最近では小型の機体でもT-tailで安全に飛べるようになっているようだ、迎角センサーと飛行速度から適切な作動開始タイミングを比較的簡単にマイクロプロセッサーで処理して スティックプッシャーのアクチュエータに信号を送ることが出来るようになったためだろう。すこしずつ前進している。これも調べ直してそうなんだと気がついたことだ。
教えることは学ぶことでもある。

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