シモツケコウホネに流れる風
あまりに暑い日が続く夏休みとなっている。南の背の高い夏の高気圧、いわゆる588ライン(500hpでの高度5880mの等高線ライン)がなかなか退いてくれない。普通に考えれば大気大循環で 赤道付近の 太陽をこの時期真上から受けるラインの上昇気流が中緯度で下りてきて出来る高気圧だから 割合に単純に時と共に南に下がるだけのはずが去年といい今年といい力強く居残っている。赤道付近では僅かに傾くだけの頭上の太陽だけにもともと秋の到来はゆっくりしたものになるのは原理的にはそうなのだけれども、ともかく暑い。目にはさやかに見えない上に風の音にも驚くことも出来ない。
避暑に奥日光に泊まりに行く予定で出かける前にぼんやりテレビを見ていると、シモツケコウホネの話題を生中継で流している、栃木で発見された新種の植物として話題になることはあったがまだ見たことがない、ちょうど花が咲いているようで、地図で調べると鹿沼と今市の中間の文挟の近くのようだ。大した回り道にならないとみて行きがけに寄って見る事にしてそさくさと出かける。近くに来るとテレビの中継車とすれ違う。なんとなく楽しい。場所は道標もついていて直ぐに解る。テレビに出ていた守る会の人が出てきてゆっくりみていってくださいといってくれる、テレビの虚の世界が現実に連なっているようで面白い。花を流れから突き出すように水路にたくさん咲いていてハグロトンボがとびかっている。尾瀬などで見かけるコウホネよりよほどしっかりしていて大きい、下野らしい力強さがある。のどかでいい眺めだ。
お礼を言ってついでに登録文化遺産になっている東武の下小代の駅への行き方を教わる、直ぐ近くだ。行ってみると文化財の旧駅舎は線路から外れたところに移築され 保存されている。写真をパチパチ撮っていると寄ってきて話しかけてくる初老の男性が現れる。人と話したがっている雰囲気がある、退職して暇をもてあましているようだ、近くのクリが実のなる時期には取り放題となる、またどうぞ、と教えてくれる。のどかな空気だ。
暑さでむせ返るような南方の空気の圧力がみなぎる昼間とは違って まだ朝方と呼べる時間帯にはこの土地特有の緩慢に流れる時と風があって心地よい。
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