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2011年9月 9日 (金)

リエンジンの話その2

気になっていたリエンジンの話がようやく決着した。ボーイングが結局737の更新は新規開発でなくエンジンのみを更新するリエンジンを選択して騒ぎは収まりつつある。燃料消費の少ない径の大きなエンジンの取り付けは地上とのクリアランスを保つために難しく、前脚を伸ばしてなんとか地上高を稼ごうとしたがやはり機体改修規模へのインパクトは大きくなり、結局737の脚柱の長さは変えられずエンジンのファン径は今のエンジンから5-7インチアップするだけで変わりばえのしない機体となってきている。またしても737の小手先の延命かとの感がある。

25年位前 エアバスがA320をローンチした頃 ボーイングは150席クラスについては日本との共同開発機7J7(日本名YXX)としてall newの機体とする方向で動いていた、しかしA320を意識しすぎてかエンジンをその先を行く革新的なプロップファンとしたことがたたって保守的なエアラインの支持を得られず 開発を取りやめ ざるを得なくなってしまった。150席クラスについてはこのときも結局737の改修型(737-400)に化けてしまった。

しかし7J7に7年間にわたって注がれた日本との研究成果は次の777に色濃く反映される結果となり、7J7プログラムはボーイング、GEを始めとする関係した企業の多くの人を育7j7 て777に代表される次の機体の技術を育んだ上で非常に有益なプログラムとなった(このあたりの雰囲気はBill SweetmanがAir & Space Magazineに書いたThe Short, Happy Life of the Prop-fanと題する長文の記事に詳しい)。7J7/YXXは 勿論日本にとっても777での飛躍の土台をつくり 787へつながっていった真に技術的にも強力なパートナーとなる大きな流れを生み出している、更にYXXからYSXが派生しこれが国産旅客機MRJへつながっていった展開を見ることも出来る。死んでしまったプロジェクトが本当はこの産業を支えているというのも何だか面白い。

737は1967年にシリーズ最初の機体が初飛行して以来45年にも及ぶがまだ基本型は変えずに使い続けることになる、何だか情けない気がする。しかし大きく変えようとしても結局は保守的なエアラインが変えさせてくれないようだ、売れすぎているのが大きな変化を阻害している一つの要因のようにも思える。こんな時はあらぬ方向から新規参入者が現れ市場の寡占が崩れていきそうなものだが、ボーイング、エアバスというプレーヤーが強すぎて、そんなことはなかなか起きそうに無い。中国とロシアがそれぞれ150席クラスの旅客機を開発中だが、前段の90席クラスのリージョナルジェットにてこずっているようで、ボーイングやエアバスに伍する機体ができるかかなり疑わしい状態だ。もしかしたら日本にチャンスが巡って来つつあるのかも知れない。
どうなっていくだろうか、やはりボーイングの次のall-newが気になる。リエンジンでお茶を濁したような150席クラスを今度は本腰を入れて取り組むことになるだろうか。また7J7でのアイディアを 埃を払って使うのだろうか、考えていても何だか影が薄くなっていくボーイングのイメージばかりが浮かぶ、時代はともかく変わりつつあるようだ。

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