華厳の滝のしぶきにまみれて
暑さが夏を引きずるように漂っている。べたべたとした湿度の高い南の風が海を越えて流れ込んでくる。赤道近くの暖められた海が巨大な大気の循環を作り出し上昇気流が空に昇り、これが日本の直ぐ南で熱い下降流となって降りてきて噴出す。遠い昔から繰り返されてきた大気の営みが時折少々ぶれる、それだけで地上では熱中症でバタバタと人が倒れ不安定な大気が大雨をもたらす。こんなことに振り回されるほどに生きていくことはもろい。
雨が日光の山にもまとまって降って奥日光の湿原を水浸しにしている、華厳の滝も水量が過去最高となっているとのnetの記事がひっかかって奥日光へ向かう。まずは華厳の滝のエレベータに久し振りに乗ることにするが、滝を見るだけで500円はちょっとした額だ。まあ渡るだけの神橋が300円だからそんなものといえばそれまでだが、しょっちゅう訪れる奥日光で滝をみるだけで500円はこんな時でもない限り払う気がしない。エレベータの前には団体の小学生の列がある、かなりの数だ、かわいい子供たちも団体をみると敬遠したくなる。そうはいっても、やり過ごしてばかりもいられない、数が多いし別のグループもまた現れる、適当なところで子供たちと一緒に
下に下りる。エレベータの出口のトンネルを出るとしぶきの粒が舞っている、カメラは防滴だがレンズは防水能力はない、きつい。しかし滝の一部が飛んできているようで、気持ちがいい。子供たちはとにかくはしゃいでいる。写真は申し訳程度に写して滝をひたすら浴びる。確かにすごい。
この水も元はといえば太平洋にいついてしまった高気圧がもたらしたものだし更にその元は赤道で上昇した熱い大気だ、巡りめぐっている地球の普通の姿だ、しかしそんなことはどうでもよくて ただ非日常的なしぶきの中を展望台の下や上を行ったり来たり何だか落ち着かない、この落ち着かない感じがなんともいえない。これがいい。
エレベータを上がってびしょぬれのシャツを着替えて、また日常の空気に戻る。これもいい。
小田代にも回る、水浸しの静かな小田代がいつもの景色の一部のようになじんで見える。時折ぶれて姿を変えるのが普通の自然なのだろう。
少しばかり長い夏もそろそろ終わりのようだ。
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