只見のブナ林黄葉
晴れの週末、奥日光へもみじ見物に出かけるつもりで3時に起きると只見のブナ林散策のメールが入っている。ネットで調べると只見の上流部のブナ林は白神山地に匹敵するものらしいとある、これはよさそうだ、いつもの奥日光へ行くはずの予定を急遽只見に変えて出かけることにする。たまには変えるのもいい。
紅葉の映える秋の良く晴れた休みの日は1年で3日とない、貴重な朝だ。例年は奥日光で決めるのだが今年は未知のブナ林に賭けることにする。朝5時前に出発を目指していたが只見ではそこまでは混むまいとネット情報や地図をプリントアウトして5時半に出る。
今年の紅葉は緑が茶色に枯れて散ってしまうパターンが大勢を占めているようだ、今までのところあまりよくない。以前訪れた温身平ブナ林の黄色の美しさが心に残っていて もしかしたらこれが当たりかもしれないとの思いがある。途中山王峠手前の紅葉を眺めるがここはま
だ早い、10月も終わりというのに標高が上がっても緑がまだまだ残る。会津田島を西へ折れて駒止のトンネルを抜けて暫く行くと右 布沢と出る。このあたりは7月末の豪雨で被害が大きかった場所だ、土砂崩れ現場を土嚢で固めてある光景が所々で目に付く。曲がらずに只見に向かえば289号線は只見の手前の花立橋が復旧工事で通行止めになっている、手前の伊南川にかかる小川橋は完全に流されたままで工事も始まっていない。福島は4重苦の状態だ。完熟トマトが名物だが帰りにみると沿道で売っているのは青いトマトがやたらと目に付く。しかしブナ林には被害
がない。布沢川を遡ってまずは恵みの森と名付けられたブナの森に行ってみる。布沢からの道は細く舗装はしてあるが離合が難しい。案内板もなく間違ったところに来たのではと不安がよぎるが、やがてトイレと駐車場所につく、ここだ。道から直ぐにブナの森に入る、布沢川にかかる小さな木橋を渡ってその先へ行くと急な下りをおりて大滝川に出る、もみじの赤が所々にありブナの黄色と沢の感じがいい雰囲気を与えてくれる。ここから渡渉しなければならないが、ちょっときつい感じだ、思案した挙句引き返すことにする、長靴が要る、もう少し準備をしてくるべきだっ
た。しかしここまでのほんの僅かな間でも これはいい、色づいた透明な秋がある。近くにある尾根歩きのもう一つのブナの森、癒しの森 に行ってみる。入り口から入ると暫くは針葉樹の人工林と細いブナでやや興ざめだが暫く歩くと太いブナが次々に現れついに斜面がブナで覆われる、秋の斜めの光が丁度良く、きれいだ、やすらぎのある森だ。先行しているのは1グループだけで静かだ、明るい森にゴジュウカラの響きもいい。
きりがない感じがして適当なところで引き返す。確かに白神の雰囲気がある。
森を堪能してただただ戻る、ことしのもみじは、と語りたくなるいつものモミジ批評家の言い方はいつか口に出なくなる、そこにあるそのままの自然の移ろいを受け止めるだけでそれ以上のもはないのではないか、そんな感じがしている。
秋はもうそろそろ終わりだ。
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