春は巡る
次第に春めいてきている。今朝の寒さはこの冬一番で宇都宮でも-7度を記録したがここらが底のようだ。後は波打つように気温が振れながら上昇していく、寒さの冬ももう終わりだ。
一時賑やかだった芥川賞を巡る話題も一渡りして冷めてきて、ふと芥川は賞のタイトルになるほどそんなにうまかったのだろうか、とたまたま見つけた短編集を借りてきて読んでいる、改めて読むとこれがさすがにうまい。自分の生活とは全く違う世界を緻密に書き出している、非常にプロフェッショナルだ、例えばツルゲーネフとトルストイ家族が猟に出かけてシギを撃つ話がある、山鴫という短編だ。見てきたかのように細かく、微妙な心理の動きの描写もそれらしく面白い、響くものがある。うまいとしかいいようがない。これを越えるうまさをまだ見たことがないような気がしている。死に様はどうあれ作品は長く命を持って残るのだろう。
また日光彫の塗りあがったものが2点出来てきた。渡良瀬のコミミズクと自宅のシャクナゲ
だ。小さいシャクナゲの盆のほうは菓子盆としてすぐに使い始める。なかなかいい。この地で生活したという証のような気もしている。
しかし自分で使うのはいいがこんなものではあとに残るというものでもあるまい、死んでしまった後はいずれ消えてしまうに相違ない。それでも構うことはないと思っている、何かにしがみつくことなくそのままの世界を受け止めて生きる、
それで充分ではなかろうか。
明るく暖かい春は今年もまた巡ってくる
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