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2012年7月30日 (月)

何でも自分でやる時代に

暑くなってきた。夏らしく夕立が毎日のようにやってくる。そのうち台風が来るようになって秋の気配が出てくるのだろう。四季のはっきりとした日本の姿がこのところ戻ってきているような気がする,そう思うと暑い夏も好ましくさえ思えてくる。
スイスのハイキング旅行の残像がまださめやらぬ中、時差ぼけがとりきれないような気がして眠くても体を動かす方がいいと思ってトレーニングに出かけた。7月も10日過ぎのことだ。
健康の森という施設で週1回は筋力トレーニングやジョギング・水泳をやっているが疲れるのか時々帰り道で縁石にクルマをぶつけることがある。この時も3週間ぶりのトレーニングの帰りということもあったのか、暗い道のコーナーでハンドルを切ると ややあって左からガリガリと音がする、あっと思うがもう遅い、低い縁石にクルマのドア下をぶつけてしまった。暗く狭い道で見えにくいのが原因だが、以前もぶつけたことがある。そのときは部品交換して4万円くらいかかった記憶があって、突然のがりがりとの音にがっくりしてしまった。明るいところで停めて様子を見るとドアの下のボディの一部が少しえぐれるようなキズになっている。FRP部品のようでへこんではいないが歪んで見える。走るにはどうということはないが格好が悪い。しかしこんなことにお金を使ってしまうのは気が進まない。そのまま走っていたが週末になってそうもいかないとばかり近くのオートバックスでざっくり見積もってもらうと3万くらいという答えが帰ってくる。ここは自分で直してしまおうと心を決めてパテだの紙やすりだの下塗り塗料だのを買い集める、結局Holtsという英国の会社が出している材料を色々買うことになる。日本の会社ではこんなビジネスも成り立たせられなかったのか、日本では自分で修理する需要はそれほど強くもなかったのだろうか、と考えてしまう。さて肝心のボディの塗料はとスバルのお店に訪れてみるとタッチアップ用の(口紅みたいな)スティックしかないという。昔はもう少し大きな缶で分けてくれていたような気がして、じゃどうすればいいのか、と聞き返すと、カー用品店でスプレー缶に調合してくれるところがあるのでそちらへ行かれたら、という、この近くでは鶴田駅近くのイエローハットができるはずだ、とくる。なんということだ、と思いながら、件の店を訪れる。確かに調合する装置のようなものが設置してあってカラーナンバーで調合するらしい。調合を依頼して20分ほど駐車場で傷跡のヤスリ掛けなんぞをしているとできたと知らせにくる。スプレー缶で3千円ちょっとする。まあしょうがない。色は新車状態の色なので現在の陽に焼けて少し白っぽくなっている色にはぴったりあわないだろうとも説明される。とにかく塗ってみるしかない。クルマの補修材の世界も勝ち残っているところが支配する構図になってきているようだ、ディーラーさえ塗料の供給はあきらめている。デフレが続き年金受給者がふえてくるとできることは自分でやってしまおうとするのを助けるこんな業種はこれからうるおいそうではあるのだが。
材料が揃ったので早速補修にかかる。削られたような傷にパテを塗って紙ヤスリで平滑にしようとするが、簡単にはいかない。時間を置いて磨くがどうしてもでこぼこは残る。目立たない箇所でもあり、まあいいかと適当なところであきらめて塗りにかかる。マスキングして下塗りをした後調合したスプレーを吹きかける。色合いはそんなに違和感はなくちょっと見た目には分からない。何回か塗って1週間ほどそのままで走る。十分乾いた後コンパウンドで磨くことになるがこれも疲れ
Kurumaるのでいい加減にやめる。とりあえず完成となるが塗料も入れると6千円くらいの出費となる、ちょっと見た目おかしくないので十分だ、修理の要領も分かったのでメデタシということだろう。
またクルマは自分で直す時代になりつつあるのかもしれない。なんでも自分でやってしまう時代が来るのかもしれない。エネルギーも電力会社の原子力を当てにはできないし化石燃料はもっても数百年だ、常温核融合がそのうち安全な自宅核融合までたどり着くのかもしれない、そうでもなければこの先恐竜の時代に匹敵する繁栄を人類は持続できないのではないか。それにしてもどうなり行くのだろうか。考えが宙に広がっていくようにしながら最低でも今後1億年は続く(かもしれない)人類の時代に思いを致している。暑い夏のひまつぶしのようではあるが。

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2012年7月24日 (火)

都会のツェルマット

スイス5日目も朝からアイガーが美しく見える。直ぐに雲が湧き出してくるのだが、とにかく朝5 晴れるのは気持ちがいい。午前中にツェルマットまで移動で今度は重い荷物を引きながらの3回乗換となる。荷物を送る手もあるにはあるのだけれどもその日中に着かせるには一個24フランと結構値が張る。万一その日に届かなかった場合のことも考えるとエイ持って行ってしまえとなる。列車では荷物置き場に置けないことも出てきて座席の前に置いたりもする、窮屈でかなわない。スイスは列車が定番だがこんなことではレンタカーもいいのではないかと思ってしまう。この後 ツェルマットの宿で朝食の時に席が隣になったドイツ人の老夫婦が ここまで列車で来たが 大変で 明日からレンタカーにすると話していた。国を問わず感じることは同じだ。加えて こんなに天気が不順なのも珍しい、スイスというよりヨーロッパ全体に雨模様が続いているとも。こんな梅雨のような配置は原理的にはありそうだが珍しいようだ。
Photo Vispで3回目の乗り換えを行ってツェルマットに向かうが何だかグリンデルワルド周辺とは雰囲気が変わってくる。周りの岩壁が急峻に削り取られている氷河谷をひたすら進んでいく。グリンデルワルドのハイジ風ののどけさが今ひとつ感じられない、こんな細い谷間の向こうに有名な観光の町があるのだろうか、と思っているとツェルマットに着く。開けていて これは都会風だ、グリンデルワルドが随分な田舎に見える。
列車を下りると直ぐに電気自動車のタクシーが待っている、これこれとばかりつかまえて宿のAdmiral Hotelへと向かう。最初は駅前通の便利な宿を予約していたが天気が怪しいのもあってマッターホルンが見える手頃な宿を探していたら出発の7日ほど前にnetで空きを見つけてこの宿に変えた。川沿いの宿だ。こじんまりした入り口から入ると机が1つポーンと置いてある、ここがフロントらしいが人けが無い。宿の人を探して荷物だけ置かせてもらって出かける、一応前もって早く着くことは知らせてあったのですぐに話は通じて荷物は部屋に運んでおくという。事務的にテキパキしていて余分がなくて都会的だ、感じがいい。
予定通り駅へ歩いて戻ってゴルナグラード展望台(3100m)へと登山電車で向かう。雲は多くなってマッターホルンは見えそうにないが氷河くらいは見えるだろう、ちょっとしたハイキングもできるだろう。ともかく展望台のカフェテリアで昼食にする、今までと少しばかり違う、のんびり感がどこかへいってそれに何だか高い、レストラン風にメニューで頼んだ方がむしろ解りやすい気もしてくる、ここも都会風だ。
Photo_2 展望台の広いテラスから景色を見渡す。マッターホルン(4478m)は雲の中だが氷河の眺めが圧倒的に迫ってくる。スケールが大きくてこれぞ氷河という景観だ、細かいクレバスが無数に走っていて緩やかに飴のようにうねっている。目の前はゴルナー氷河だ。スイス最高峰のモンテローザ(デュフール峰;4684m)は雲がかかって見えないが、そこから流れ落ちるこの氷河はよく見える。右にリスカム(4527m)、ブライトホルン(4164m)、と続く山稜も雲で上部は見えないものの峰Photo_3 峰から流れ落ちる山岳氷河が屏風のようで迫力がある。これは確かに他では見られない眺めだ、すごい。氷河の崖の上に立つゴルナーグラードならではのものだろう。ベンチに座ってただただ時間を過ごす、スイスではこんな風に時間を使うことに慣れてきた。座っているとそのうちSnow Finch(ユキスズメ)などもトコトコと現れてきて面白い、人がいても逃げない。ここから途中のリュッフェルベルグまで歩く人も沢山いるが、今日のところは昼過ぎで天気が崩れ始めそうなこともあって次のローテンSnoefinch5 ボーデンから歩くことにする。ローテンボーデン駅から直ぐ下を走る登山道に下って歩いていくのだが、思いの外目の前のリッフェルホルンが見晴らしを妨げる、残念ながら氷河は見えない。ここから氷河に降りていく道もあって後から思えばそちらを少しのぞいてみればよかったかと思うが、このときは勝手が今ひとつ解らずあらかじめ入れておいたGPSのポイントに従って歩いていく。マッターホルンは雲の中で逆さマッターホルンは望むべくも無いが、日本人ツアーの一団をHituji やり過ごせば後はのんびりと静かな山歩きとなる。花を楽しんだりして暫くいくと道を塞ぐように羊がゴロゴロしている、近寄ると道を明けてくれるが牛と違って首の鐘がうるさくない、おとなしいからだろうか。親子でそれぞれに固まっている様でもある。やはり人馴れしている。
程なくリュッフェルベルグに着いてこれはなんと言うこともない、手頃な運動という感じだ。ツェルマットに戻ってチェックインを済ませ一息入れる。今度は三ツ星だけにバスタブもあって部屋は悪くない、バルコニーに出ると晴れればマッターホルンが良く見えそうだ。Wifiはパスワードを貰って直ぐにつながる、Tschuggenよりやや遅くて 重い気象データのダウンロードはちと苦しいが普通にwebやメールをみるには問題ない。明日も天気は同じように不安定で雲は多そうだが昼間は雨にはならない予測だ、何とかなりそうだ。夕食に良さそうなレストランをネットで探すとホテルの斜め前のSnowboatという店がトリップアドバイザーのランキングで1位と出てきて、丁度いいと行ってみる。パソコンは便利だ。バー・レストランでアメリカ風と、スイス料理ではないが味は確かにいい、値段も高くない。これも都会的だ、こんなのがツェルマット的な店なのだろう。駅前通を散歩してみる、日本人ツアー客は目にはつくがグリンデルワルドに較べて随分控えめだ。街のサイズが大きいためだろうか。
Findela
翌6日目は天気もすっきりしないこともあり計画していたマッターホルンの裾野SchwarzseeからFuriまでのコースを歩くのはやめて道もはっきりしているロートホルン周辺を歩くことにする。これも宿から直ぐ近くのスネガ行き地下ケーブルでスネガまで上がってその先ゴンドラを乗り継ぐ、便利なところにホテルはある。とにかくロートホルン(3108m)の頂上まで行ってみ るが天気のせいか途中Alpine_accentor4a のブラウヘルトから上る ゴンドラの同乗者は4人しかいない。頂上で降りると あられのような雪もぱらぱらと降ってくる、どうも天気は今ひとつだ。しかし雪も直ぐ止んで大したこともないので徒歩で下ることにする。これはいかにも山らしい。眼下を流れ落ちるFindel氷河がちょっと凄みがある。高山らしく花は地を這うようでユキワリソウのような花が目に付く。エーデルワイスもそれらしい葉はあるがまだ時期が早いのか花は見つからない。鳥も少しはいて Alpine Accentor(イワヒバリ)が姿を現す。概ね日Yamagoya 本のイワヒバリと同じようだ。急な岩だらけの下りを降りて先を見ると小屋が見えてくる。テラスに人は居ないが確か食事が出来るとコース紹介にあったように思って、覗いてみる、人が奥に居て声をかけると注文を受けてくれてテラスで昼食をとる、下からも上がってくる人がいて見る間に客が増えてきてレストランらしくなる、不思議なものだ。マッターホルンは相変わらず雲の中だが天気も次第に良くなってきた、気持ちがいい。Edelwais ゆっくり休んだ後ステリゼーという池を経てブラウヘルトに戻るが、この道も両側がお花畑になっていていい眺めだ。緩やかな登りを歩いていると ついにエーデルワイスの花が現れる。数は少ないが見事に咲いている。しかし日本のウスユキソウもこれに劣らず立派であったような記憶が蘇ってくる、那須大峠で以前かなりいい花を見たことがある、よく似ている。スネガまでゴンドラで戻ってまたテラスでお茶を飲んでのんびりする。贅沢な山歩きだ。日没が9時と日が長いのもあって雷さえこなければゆっくり行動しても何のあせりもない。

次の日7日目は帰る日だ。午後3時頃のチューリッヒ発の便なんでそれほど慌てて宿を出るMhorn0 こともない。朝起きて部屋のバルコニーからマッターホルンのほうを見ると晴れてきそうだ、眺めていると塊の雲が次々に流れていって遂にやっとその姿が朝日に輝きを放つ。次第に雲の中から現れてくる姿がむしろ強い印象を与えてくれる。見下ろすと橋のところに日本人が集まってきて眺めている、この辺りがツェルマットでも良く見えるポイントになっているようだ。ともかく外へ出てマッターホルンを見ながら散歩してみる、ツェルマットはこうでなくちゃと思ってしまう。
Mhorn チェックアウト後 宿から駅までは宿のシャトルサービスがある、楽だ、勿論電気自動車だ。なかなかサービスの良い宿だった。日本のツアーにも組み込まれているようでツアーの入った2日目は朝食も慌しかったがその他はまずまずだ。

帰路の列車は今度はVispの1回乗換えだけで済む、しかし混んでいる。ツェルマット駅で出発を待っていると突然楽隊が乗り込んでくる、聞けばこのシーズンはこの辺りのお祭りを廻っているという、今日はツェルマットマラソンの余興らしい。車内でラッパやドラムを鳴らして騒々しいが楽しい。2つ目の駅で降りていく、動き出した電車の窓からマラソンの走者が次々に見えてくる。ゴルナグラードの少し下のリュッフェルベルグまで駆け上がるらしいが本当だろうか、もうこの辺りで足どりが重いランナーが目立つ。登りっぱなしのフルマラソンとは、とても考えられないレースだ。
Vispからチューリッヒ空港駅まで思いのほか早く着く、スイスはやはり狭い国だ、九州くらいの国だ、のんびり走る観光列車に乗らなければ移動は簡単のようだ。のんびり走る列車が国を大きく見せているようにも思えてくる、時間の進み方が違う尺度をいくつも持っている、本当に不思議な国だ。

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2012年7月21日 (土)

アイガーを眺めながら歩く

スイスアルプスへの旅は心に残るものが沢山あって記憶がはらはらとこぼれていかないうちに書き留めておこうと記しているが、なかなか進まない。4日目だ、7月4日のことになる。

スイスも4日目となってようやく天気が良くなってきた。バルコニーからアイガーの朝焼けが美Photo しく見えて今日はハイキング日和となりそうだ。もうのんびりいくことにしたので今日はフィルストからバッハアルプゼーまでゆっくり行ってみて時間があればグリンデルワルドに戻ってバスのただ券を使ってグルンドに移動しメンリッヘン行きのゴンドラに乗ってみることにする。午後は崩れて雷雨になりそうだが乗り物に乗るところまでは何とかなるだろう。
フィルスト行きのゴンドラはスキー場によくある6人乗りのゴンドラだった、天気が良くてアイガーやシュレックホルンなどがよく見える。雪のあるシーズンにスキーに来たくなる、あたり一面スキー場だ。乗り合わせたちょっと感じのいい新婚さんと話していると2日前の雷雨の日にこのルートを歩いたが何も見えなかった今日は移動日だが天気がいいので時間をやりくりしてまた来てみたという。そうでPhoto_3 すよね、と相槌を打ってしまう。こんな日に歩かないということはない。30分ほどでフィルストに着く、展望台は帰りに昼食に寄ることにしてすぐに歩き始める。フィルスト展望台の直ぐ上の小高 い丘のようなところでアイガーやシュレックホルンとその周りの氷河、そしてその向こうのユングフラウ、といった素晴らしい展望をしばし眺めては写真を撮ったりのんびりする。もういいかと丘を下ってバッハアルプゼーへのコースに乗って、振り返ってみると丘と思っていたところはオーバーハングした大きな岩の頂だった、知らぬが仏でのんびりしていたが何かの拍子Photo_2で落ちれば命はない。確かにアルプスだ。
道はしっかりしているがせっかくGPSにポイントを入れてきたので地図と照合しながら現在位置を確かめつつ歩く。日本の山歩きと似たような感じだ。標高は2250mくらいだから美ケ原よりやや高い程度で、森林限界の大分上になる、やはり花は多い。鳥を探したり花を見たりしながらゆっくり歩くので、ツアーの集団が来ても直ぐやり過ごせてのんびり静かに楽しめる。青いフリューリングス・エンツィアンや黄色いトロPhoto_4 リウス・エウロパエウス(タマキンバイ)がよく目に付く、昨日と花は同じようだが時折マーモットが現れたりして、また違った雰囲気だ。雪渓があったり北アルプスのような風情だが振り返ると見える山の連なりが違う、何しろ氷河(グリンデルワルド下氷河)が見える、景色に重みがある。小さな高山蝶も現れるが名前が解らない、花も旅行ガイドの写真が頼りだ。こちらに図鑑が売っているだろうと思っていたがグリンデルワルドの案内所にもベルンで入った書店でも野生植物や鳥のPhoto_6 図鑑が見当たらない。グリンデルワルドで遂に見つけた図鑑はスイスで印刷された日本語の花の図鑑だった、ギョッとするものがある、スイスの人は花の名前には興味がないのだろうか、それとも普通の人は当然知っているのだろうか。日本でもよく行き当たるが鳥がたくさんいる場所で地元の人が殆ど鳥に興味を示さないことが多い、あの類のことか、とも思ってしまう。グリンデルワルドの街でエーデルワイスをやたら売っている、ホテルはこれを玄関先に植えたりしている、栽培種のようだが、栽培されている野草は必死に生きているという可憐さが無くてちょっとつまらない。観光地なんだ。ビジネスが前面に出ているんだ。国立公園でないということはこういうことか。自分流に楽しむほかないようだ。
昼頃になるとアイガーの西側から雲がかかってきた。フィルストまで戻ってレストランのテラスで山を見ながらアイスティーでも飲んでのんびりする。少し疲れてぼんやりしている、なんともいえず心地よい。
グリンデルワAルドに戻ってみると バスの時間が丁度いいのでグルントまで行ってメンリッヘン行きのゴンドラに乗ることにする、雨になりそうだが、上がって様子も見てみたい。天気のせいかゴンドラに乗客は殆どいない、動きはじめて暫くすると放牧されている牛の首につけた鐘のグアラングアランという大きな音がゴンドラまで響いてくる。牛自身はうるさくないのだろうか、不思 議だ。30分ほどで上につく、やはり雨だ。それほどの雨でもないのですぐそばに見えるメンリッヘンの山頂に向かうがそのうち雷の音もし始めて雨脚も増し、途中で止めてPhoto_5 しまう、こだわらないのがスイスにあっている気がする。それにしてもアイガー北壁がよく見える、雲が切れ切れにかかって却って凄みがある。ユングフラウは雲の中だが、メンヒは半分くらい見える、いかにもスイスの山らしい。ラウタブルンネンの谷は雲で埋まっていてアイガーの右からは厚みのある雲が押し寄せてくる、小屋のひさしで雨宿りしながら静かにしばし景色に見入る、贅沢なのだろう、何と言うこともなく時が過ぎていくこんな日も悪くない。
明日はツェルマットだ

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2012年7月18日 (水)

ゆっくり動くのがスイスらしい

Swisseiger スイスも3日目。朝起きるとアイガーの山頂が見える、上空にはドライなエリアが広がり雲は上がってきそうな予測でもあった、ユングフラウヨッホに上がってみることにした。
8:17のグリンデルワルド発の登山電車に乗るべく急いで朝食を済ませて駅へ出かけると日本 人ツアーで溢れている。この駅は毎朝こんな光景が繰り返されるようだ。スイスの小さな町に繰り広げられる不気味にも思える光景だ。 殆どが60台半ば以上のようだ、恐るべし。
半額カードでも一人85スイスフランもする、観光用の登Swissdensya山電車だからしょうがないがそれにしてもスイスの鉄道はすべからく高い、半額でまあ妥当かという運賃のように思える。その高い運賃にこれだけの人が日本から押し寄せるというのだからすごいが、これに対して街は快く受け入れているように見える しかしどこか不安ももたらしているのではないかと思えてくる、この人の流れが途絶えることがあれば街は持ちこたえられないのではないか、気味悪がっている場合でない、ということだろうか。インターネット上にもGrindelwaldに押し寄せている日本人ツアーをネガティブに表現した書き込みは探しても見つからない。観光立国とはこういうことなのだろう。どこか中国人観光客に頼っていく日本の観光地の有様がオーバーラップしてくる。
Swisshyouga この日はユングフラウヨッホの展望台からユングフラウは雲の中で見えなかったものの、アレッチ氷河の流れ行く様や途中のアイガーミール駅からはシュレックホルンとそれを取り巻く氷河と雲海の眺めも見られそれなりに景観を楽しめた。Top of Europeが日本人だらけのは少々辟易するものの眺めは確かに雄大だ、というよりここまで来たという事実のもたらす感慨がそれよりも大きいのかもしれない。アイガーグレッチャ駅まで電車で下ってクライネシャイデックまで予定通り歩く。ツアーコースに入っていて歩く人が多いが、ゆっくり歩いて団体をやり過ごせば静かに花や景Swisshana 色を楽しめる。アイガ―に雲がかかって上部は見えないが時折見せる雲の切れ間の岩稜がかえって迫力と存在感を感じさせる。お花畑を軽く下るだけ、これはいいい。花の種類が多くて名前は覚えきれないが日本の山にある花に近い。歩くと確かに来てよかったと思う。日本のお花畑よりスケールが大きく花が途切れない。スイスアルプスの殆どには国立公園の設定はない、ビジターセンターもなければ巡回するレインジャーのような人は居ない、公園というより大きな放牧Swisshana2 場なのだろう。それにしても訪問者が多い割りにゴミもなく美しく維持されている、不思議だ、この国は不思議なことが目に付く。
クライネシャイデックからヴェンゲンアルプまで更に下りる。花は途切れないし景色はいい、ゆっくり歩いても時間は十分ある、殆ど散歩のように歩くのも悪くない。ヴェンゲンアルプの駅に着いてみると電車が来ている。無理かなと思いつつ一駅分の切符を買ってもまだ電車は動かない。どうやら上り下りの離合待ちの様だ、反対側の電車が来ても直ぐには動かない、のんびりしている、時間ぴったりに運Swissdensya2 行されるスイスの鉄道というが余裕時間がたっぷりとってあるようだ。車掌にうながされはしたものの難なく乗れてクライネシャイデックまで戻り、更に乗り換えてグリンデルワルドへ帰る。どうということのない普通の観光ルートをなぞったような1日だったが、ゆっくりと動くとスイスらしい雰囲気に満ちてくる。時間の進行の妙、多元的な時間といってもいい。アインシュタインの特殊相対性理論はこんな時間の感覚の流れる国だからこそ得られたのかもしれない。それにしてもスイスは面白い国だ。

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2012年7月16日 (月)

雷雨を逃れてベルンに

グリンデルワルドの宿はTschuggenというホテルとした。2つ星だがアイガーの眺めもよくサービスもいいし場所も便利とのクチコミがサイトに多数あり4泊もするならここがいいと決めたものだ、しかしとにかく2つ星なんで少々自信がなかった。メールで少し遅くなると知らせておいたのもあって着くとややにぎやかな女性が現れてテキパキとチェックインと鍵や無料バス券の使い方の説明をしてくれる。荷物はサービスで部屋まで上げてくれたが部屋は中二階くらいのところでフロントからも近い。悪くない。バルコニーに出ると遠くでごうごうと川の流れが響きアイガーは目の前に聳えている、確かに眺めはすばらしい。しかし上半分は雲の中だ、そのうち上まで見れるだろう。インターネット接続(WiFi)は無料でテーブル上に示されたパスワードで直ぐにつながる。気になる天気は、少なくも今晩から明日にかけてはどう見ても雷雨だ。あきらめてシャワーを浴びて夕食を前のHotel Eigerのレストランでとる、このほかにも辺りにレストランがいくつもあって確かに便利なところだ。機内食がつかえていて軽めのベーコン料理とソーセージ料理をシェアしながら食べるが食べきれない、1日に何食食べたかわからないくらいだからしょうがない、旅の1日目はこんなものだ。
夜半に雷が激しくなる、起き出してバルコニーに出るとアイガーの右裾の稜線に見事に落雷し 落ちたところが赤く光る、縦に走る雷光が綺麗だ。しかしこれではとても山は歩けない。今日はベルン観光にしようと決めてひと眠りしたあと起き出して列車の時間や乗換えを調べはじめる。やはりパソコンを持ってきて良かった、ストレスなく情報が集められる、気象の予測も日本にいるときと同じに上層から低層までの時間を追っての予測がまがりなりにも出力できる。朝食は宿代に含まれていて宿で出してくれるが十分な内容がある。パンが特においしい。1泊一人8500円弱で宿代もこの立地にしては十分安い、4泊してもこたえない。日本人の宿泊も多いが個人旅行組ばかりなので気が楽だ、グリンデルワルドは日本人ツアーで溢れていてなんとなくツアーで固まって動く集団は避けたくなる、そういう感覚でもこの宿は良かったような気がする。
ベルンまでは新たに切符を買わなければならない、グリンデルワルドの駅は朝からユングフラウヨッホ行きの日本人で溢れているが切符売り場は混んでない、こんな日に登山電車で上がるのは100%日本人団体ツアーなのだろう。こちらは山を下る電車に乗ってベルンへ向かう。インターラーケンOstで乗り換え、トゥーン湖沿いを走る、眺めがいい、広い湖で雨でも気持ちがいい。更にSpiezでVispから来た電車に乗り換えてBernに向かう。乗り換えの待ち時間は5分と4分でよく接続している。やはり不思議だ。次第に雨は上がってきてホッとする。

Bernは首都だけに都会だ、人が多い。ガイドブックに従って観光案内所を探すがうまく見つSwissbern1 からない。ともかく旧市街に向かって歩いてみることにする。路面電車にも乗りたいが駅前からはあちこちに向かって出ていて間違えるととんでもないところへ行ってしまいそうだ、駅への戻りに使おうと歩き始める。首都の中心通りなのに道幅が随分狭く市電やバス歩行者が入り乱れている、しかし首都の持つせかせか感がない。スイスは著名な投資銀行もあり、こんな暢気な街でやっていけるのだろうかと思えるくらいだ。観光都市の風情がある、世界遺産の旧市街に到達しなくとも十分に歴史を感じさせる街並だ。両側の歩道はアーケードのようになっていて屋根があり雨が降り出しても大丈夫だ。道の真ん中に古くからの噴水・水のみ場が点々とあったり、時計の付いた牢門塔(Kafigturmr)があったり旧市街地区の入り口に時計塔(Zytglogge Zeitglockentrum)があったりするのだが、ツアーのようにその由緒を説明してくれるガイドもなく、ふーんといって見ていく、こんな時には個人旅行はちょっと不便だがしょうがない、持参したガイドブックだけを頼りに歩いていく。ラインの支流であるアーレ川沿いに大聖堂Swissbern2 があるはずと思っているとそちらへ向かうと思しき人の流れがある、それに従って歩くと程なくゴチック建築の大聖堂が見えてくる。上部の塔のあたりは工事中のようで足場が組んであり、写真うつりが今ひとつだ。大聖堂横のアーレ川を望む辺りにベンチとテーブルがあり、のんびり時を過ごす。川の眺めがいい,風景に浸る時間が持てるのがいい。大聖堂の中も一通り覗いて時計塔近くまで戻って昼食とするがメニューが難しい、メニューのSaladtというのがサラダにしてはしっかりしていそうなのでこれを頼むと丁度いいものが出てくる、ここでの食べ方が次第に解ってきた,スイスのメニューはあまり複雑ではないようだ。食べながら眺めていると 時計塔の前の交差点は重要そうな交差点なのに信号がなく市電やバスや人がごちゃごちゃと行きかう。不思議な首都だ。アSwissbern3 インシュタインの家というのがあるはずだが見つけられなかった、こんなところに住んであの特殊相対性理論に至ったのかと思うと何だか信じられない気がしてくる。ごちゃごちゃした街だけに新しい発想を得やすかったのかもしれない。
少し歩いて市電に乗ったり連邦議会の建物を見たりぶらぶらして引き上げる。ジュネーブには以前から国連の機関があるのにスイスは最近やっと国連に入った、とか、ジュネーブ、バーゼル、ローザンヌ、チューリッヒ、ベルン、ダボス、サンモSwissbern5 リッツといった著名な都市の 名前が九州くらいの広さの国の中に多く点在している、とか、アインシュタインやジャンジャックルソーのような思いがけない多くの歴史上の著名人の名前がスイスと関わっているとか、未だにスイスという国が頭の中でカチッとこない。ベルンという街も何だか印象がまとまらない。スイスは本当は建前を固持せずに実利的のみの考えpragmatismで貫かれているのかもしれない、こんな国、という枠に入れられないのかもしれない、そんなことを思っていた。面白い国だ。
明日からは、とにかく山を歩かねば。

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2012年7月13日 (金)

雨の中グリンデルワルドへ向かう

スイスへハイキングと2月頃から計画を始め航空券の確保、宿の手配、列車の切符の買い方の研究や地図の入手、と進め、スイスについて書かれた本もいくつか読んでみたりしていたが、とにかく天気が気になっていた。雨の日のエスケープは一応考えてみたものの、ハイキング中心の旅だからみんなエスケープするわけにも行かない。
気象庁のGPV(全球モデル)から切り出して予測を毎日のように続けていたが出発の日が近づくにつれ予測が悪くなる、勿論スイスの現地の気象予測やその他世界の気象予測をネットから拾ってきてみてもしていたが、全日程 雷雨の予想となってくる。イギリス上空から寒気が下りてきて居座り一方アフリカから暖かい低層の空気が寄せてきて欧州中部でぶつかり不安定なパターンが続くという予測で、スイスはなかなか晴れそうにない。いつもの旅の前の不安とウキウキした気持ちのないまぜが、今回ばかりは不安が大きくなって明るくなれない、こんなことは初めてだ。ともかく現地で逃げ手を考えるにはパソコンが大事とばかり、Acerの小さいパソコンをもっていくことにする。グリンデルワルドの宿もツェルマットの宿も無料でWiFi接続可能となっている。到着の日と翌日はどうみてもかなりの雷雨だ、その後も不安定で雷雨を覚悟しなくてはならない。朝のうちは晴れることもあろうと不安定さの加減に期待しながら出発する。
Swisstart 成田空港前のいつも利用している駐車場へ車を預けて夜のエミレーツの便でドバイ経由でチューリッヒに向かう。この便だと到着した日のうちにグリンデルワルドまで着ける計算だ。エミレーツは機材が新しくて利用者評価のランキングが2位という日経ビジネスの記事を読んだばかりで期待していたが777-300はもう古びていて座席の前のテーブルが壊れていたりする。肘掛からテーブルが出てくるのでそんなに困りはしないのだが、2位という評価はちょっと。。。と思ってStaremirates しまう、天井に星が映し出されるのは雰囲気がいいのだが。
夜の便だから普通に眠れてドバイに至る。着陸前に上から見ると道には全て街路灯がこうこうとついていて整然とした道がよく解る、石油の出ている今のうちに国を発展させておこうという意志が漂っているように思える。

ドバイの乗り継ぎは4時間以上あいていて、広い空港内をぶらぶらする他ない、午前4時というのに人が多く店もDobai大抵開いている。24時間ハブ空港とはこんなことかと思いいる。
エミレーツ便の4時間以上乗り継ぎ乗客は軽食無料サービスが受けられるとネットで見ていたので探し回る。以前はラウンジの一部を使っていたようだが今はInformationカウンターでタダ券をもらって指定の店でサービスを受ける仕組みになっていた、Informationの前の長い 列に並んで券をゲットして軽食にありつく。大きなサンドイッチ風でちょっと食べすぎだ。
有料の飲み物も試しに飲んでみる、お金は小額でもカード払いが効く。本来はAEDというおDobai_2 金で払うところだが無論乗り継ぎではいちいち通貨を換えたりはしない。
アラブの世界だ、目だけを出した衣装の女性が時折歩いていく。女性は車を運転することも出来ないと聞く、宗教の無残さを感じる、宗教の現代的意味を疑う、キリスト教であれ仏教であれ。
また777-300に乗ってチューリッヒへ向かう、この機体もやや古びている。雲が気になって眺めていたがやはりヨーロッパ中部は厚い雲の下だ。優勢な積乱雲が少し北にそびえていて、スイスは雨だろう、予測は概ね当たっている。
チューリッヒ空港の入国手続きは簡単で荷物を手押しに載せたまま空港駅のあるairport centerに入っていく。エスカレータで下りると切符売り場だ、予想通り列が出来ている。暫く待つと順番がまわってきて窓口のおばさんとマイクを通じて話をする。半額カードとルツェルンStation 経由グリンデルワルドまでの切符を買おうとメモを渡すとついでに書いていたその後の旅程を見て、全部のルートを1枚にして今作ってしまいましょうか、とくる、旅程の最後の日を聞かれるままに答えるとそれに5日くらい余裕を持たせた有効期限で切符を作ってくれた。これでいちいち切符売り場に並ばずともすむ。支払いはカード払いにすると、円でも買える表示が出てくる、何となくスイスフランのほうが解りやすい気がしてここはスイスフランで購入、円で買っても成田の交換レートとほぼ同じだから別に損は無さそうだ、でも交換手数料をスイスの地に落とすようにしているところが、観光で立国する国の細やかなビジネスモデルを感じさせる。アメリカや他の欧州諸国ではこんな払い方に出くわしたことがない。鉄道割引パスもいくつも種類があるがいずれも結局それほど安くはない、得した気分にさせて利を得る典型的な商法のようだ、ここらあたりの感覚が観光ビジネスでは肝心なのだろう。
ここまでは予定通りの時間で進行して予定していたルツェルン行きの電車に乗る。大して混んでもいない、荷物置き場にスーツケースを置くがやっぱり列車に重い荷物を持ち上げるのは厄介だ。走り出すと雨だ。チューリッヒ駅でスイッチバックする、別に坂道でもないが方向転換するのに都合がいいからやるだけのようだ。この手のスイッチバックはこの後方々で遭遇する、機関車をどうしているのかはわからないが手際は良いようだ。ルツェルンの乗り換えは6分のはずが電車が少し遅れて殆どゼロ分乗り換えとなってしまった。少し大きな駅だが乗換えホームは事前に調べてあるのでとにかく重い荷物を引いて急ぎ足で向かうと電車は待っていてくれた。車掌の権限で待つようだ、急いで来る客がなくなると出発する、乗る意志を態度で伝えることが肝心のように思える。
今回の旅行では鉄道はスイス国鉄のサイト使って計画して目的地までに2-3回乗り換えたが どの場合でも乗り換えの待ち時間が丁度いいようになる、無駄に長く待つことがない。電車の本数はそれほど多くないのにどういう仕掛けなのだろうかとスイスを旅している間中疑問だった。まだ解らないが、どの方向から来ても待ち時間が適正になることを制約条件に列車の運行をすべからく決めているとしか思えない。お客の立場にたった運航のように感じさせる。多分日本でもやればできるのだろう。
Gpl golden-pass-lineは土砂降りでは写真もうまく撮れない、湖や峠を越え景色はいいのだが。しかし雨にけぶる野山もなんだか日本ににて近く感じて悪くない。
インターラーケンostでまた乗り換えてグリンデルワルドへ向かう。次第に山が近づく。やっとの思いで本日の終点に着くとやはり雨だ。タクシーもないし雨具を着て歩くほかない。ほぼ予定通りに予想された天気の元の到着だ。次の日からが思いやられる。しかしいかにも旅らしい。

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2012年7月 9日 (月)

A380でインターネット

スイスへ旅して帰りの楽しみはドバイからのエミレーツ航空のA380搭乗だった。スイスの電車や登山電車、ロープウエイ、路面電車、バス、それに新しい飛行機と 今度の旅は乗り物がすべからく面白い。行きの777-300では一番後ろにある2列席を取ることが出来て楽だったがA380はこんなしゃれた座席はない、どうせ満席にはなるまいと3列席の窓側2席を取っておいた。ドバイで長椅子でごろごろ居眠りをしてやっと搭乗となる。A380は主翼クラック問題がこのところ話題で、もしかしたら機体が777に変わってしまうかと心配していたがそんなことはなかった。Gate openは1時間以上前で、並ぶこともなく登場前の専用の待合場所に入る、ボーディングパスを切ってからまた待合室があるというのも初めての体験だ、エミレーツのお膝元の空港だけに色々と気を使っているようで面白い。ドバイから成田では日本人だらけかと思いきやそんなことはない、むしろ日本人の姿は少ないくらいだ。暫く待って機内に入る、新しい。
確かに777-300より座席が一回り広いし前後のスペースもやや広い、窓際のおまけのスペースは何故か少し切り詰められて荷物を置くのに窓側が便利ということでもなくなっているが、座席のゆったり感がよくてこれなら満席でも何とかなるかと思う。続々と機内に搭乗してくる、1階席は全てエコノミーの配置だが、完全に満席だ。どうみても空きがない、これはエミレーツは儲かるだろう。1席当たりの燃料費は777より大分低いはずだが、勿論A380b お客の払う料金は同じだ。
窓が小さく感じる。内壁と窓板との距離がややあるための様でもある。787にはまだ乗っていないがこのあたりは窓の大きな787が良い印象を出しそうだ。それにしても巨大な翼が窓から見える。
座席の背中についている機内エンターテインメントもよく出来ている、画面が大きくて美しい。機能はエミレーツの777に付いていたものと基本的に同じだが見やすいしソフトのバージョンがかなり上のような気がする。
飛び上がA380qって巡航に入ると機内騒音が確かに小さい。他の機体では聞こえない乗客同士のおしゃべりのさざめきが、航空機のノイズの上に浮かび上がってくる。
機内でWifi(無線インターネットLAN)接続ができるというので早速パソコンを開いて接続を始める。接続メニューがパソコン画面に現れ、5ドル払うと30MBまで使えてそれを越えると従量料金となる、15ドル払ってもうすこし大きい容量のメニューも準備されているが、5ドルのメニューで十分とこちらを選択、30MBになったらそこで打ち止めとするようにセットする。接続速度はかなり遅いが一応つながる。確かインマルサット衛星経由のはずだ。メールをチェックしたり雲の予測をネットから拾ってきて窓の外の現実と見比べて遊んだりしていると食事になる。一旦接続を切ってパソコンを閉じ食事を済ませた後また立ち上げると 現在はサービスが得られない とのメッセージが表示されてつながらない。機内の無線LANは接続しているので回線の問題のようだ。暫くしてもつながらないのでスチワーデスに画面を見せてつながらないというと、飛行領域でつながらないことがある、エミレーツのせいではない、とそっけない。確かに中国上空だ、そんなこともあるかと思っていると 暫くして、リセットしてみた今度はつながるでしょう、と笑顔でくる、でもつながらない。そのうち日本人のスチワーデスが如何ですか、とくる、まだつながらないというと前の席のほうではつながっているようです、前の方でやって見ますか、とくる、(無線LAN自体はつながっているので)そんなはずはなかろうが、座席の出入りが窮屈な満席の状態でこれ以上押し問答してもしょうがないとあきらめる。飛行も最終局面に入って中国を抜けたところで、接続が可能になる。やはり中国上空は衛星接続に何か細工があるように思えてくる。日本の衛星放送は韓国で受からないように衛星のアンテナパターンがいじられていたがそれと同じかもしれない、或いは考えすぎで単に静止衛星のカバーエリアのエッジに入っていただけなのかもしれない、ともかく飛行領域が関係しているようだ。最初の(非日本人の)スチワーデスの説明の方が正しかった気がしてくる。始まったばかりのサービスだけに色々あるのだろう。結局30MBは数MBを残して飛行は終了した。しかし飛行中のネット接続は便利だ、それに美しいエンターテインメントの画面もあって10時間近いフライトでも飽きたという感じがしない。
スイスにハイキングに行ったがカナディアンロッキーのようにストレートな印象ではない、欧州という懐深い文化風土から受ける厚みが印象の中心にある。A380の帰りの旅も、欧州とアラブとそれに中国の今を感じて、それなりに心に残るものを与えてくれた。もうこんな風な旅は出来ないかもしれない、でも旅はやめられない気がしている。

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