A380でインターネット
スイスへ旅して帰りの楽しみはドバイからのエミレーツ航空のA380搭乗だった。スイスの電車や登山電車、ロープウエイ、路面電車、バス、それに新しい飛行機と 今度の旅は乗り物がすべからく面白い。行きの777-300では一番後ろにある2列席を取ることが出来て楽だったがA380はこんなしゃれた座席はない、どうせ満席にはなるまいと3列席の窓側2席を取っておいた。ドバイで長椅子でごろごろ居眠りをしてやっと搭乗となる。A380は主翼クラック問題がこのところ話題で、もしかしたら機体が777に変わってしまうかと心配していたがそんなことはなかった。Gate openは1時間以上前で、並ぶこともなく登場前の専用の待合場所に入る、ボーディングパスを切ってからまた待合室があるというのも初めての体験だ、エミレーツのお膝元の空港だけに色々と気を使っているようで面白い。ドバイから成田では日本人だらけかと思いきやそんなことはない、むしろ日本人の姿は少ないくらいだ。暫く待って機内に入る、新しい。
確かに777-300より座席が一回り広いし前後のスペースもやや広い、窓際のおまけのスペースは何故か少し切り詰められて荷物を置くのに窓側が便利ということでもなくなっているが、座席のゆったり感がよくてこれなら満席でも何とかなるかと思う。続々と機内に搭乗してくる、1階席は全てエコノミーの配置だが、完全に満席だ。どうみても空きがない、これはエミレーツは儲かるだろう。1席当たりの燃料費は777より大分低いはずだが、勿論
お客の払う料金は同じだ。
窓が小さく感じる。内壁と窓板との距離がややあるための様でもある。787にはまだ乗っていないがこのあたりは窓の大きな787が良い印象を出しそうだ。それにしても巨大な翼が窓から見える。
座席の背中についている機内エンターテインメントもよく出来ている、画面が大きくて美しい。機能はエミレーツの777に付いていたものと基本的に同じだが見やすいしソフトのバージョンがかなり上のような気がする。
飛び上がって巡航に入ると機内騒音が確かに小さい。他の機体では聞こえない乗客同士のおしゃべりのさざめきが、航空機のノイズの上に浮かび上がってくる。
機内でWifi(無線インターネットLAN)接続ができるというので早速パソコンを開いて接続を始める。接続メニューがパソコン画面に現れ、5ドル払うと30MBまで使えてそれを越えると従量料金となる、15ドル払ってもうすこし大きい容量のメニューも準備されているが、5ドルのメニューで十分とこちらを選択、30MBになったらそこで打ち止めとするようにセットする。接続速度はかなり遅いが一応つながる。確かインマルサット衛星経由のはずだ。メールをチェックしたり雲の予測をネットから拾ってきて窓の外の現実と見比べて遊んだりしていると食事になる。一旦接続を切ってパソコンを閉じ食事を済ませた後また立ち上げると 現在はサービスが得られない とのメッセージが表示されてつながらない。機内の無線LANは接続しているので回線の問題のようだ。暫くしてもつながらないのでスチワーデスに画面を見せてつながらないというと、飛行領域でつながらないことがある、エミレーツのせいではない、とそっけない。確かに中国上空だ、そんなこともあるかと思っていると 暫くして、リセットしてみた今度はつながるでしょう、と笑顔でくる、でもつながらない。そのうち日本人のスチワーデスが如何ですか、とくる、まだつながらないというと前の席のほうではつながっているようです、前の方でやって見ますか、とくる、(無線LAN自体はつながっているので)そんなはずはなかろうが、座席の出入りが窮屈な満席の状態でこれ以上押し問答してもしょうがないとあきらめる。飛行も最終局面に入って中国を抜けたところで、接続が可能になる。やはり中国上空は衛星接続に何か細工があるように思えてくる。日本の衛星放送は韓国で受からないように衛星のアンテナパターンがいじられていたがそれと同じかもしれない、或いは考えすぎで単に静止衛星のカバーエリアのエッジに入っていただけなのかもしれない、ともかく飛行領域が関係しているようだ。最初の(非日本人の)スチワーデスの説明の方が正しかった気がしてくる。始まったばかりのサービスだけに色々あるのだろう。結局30MBは数MBを残して飛行は終了した。しかし飛行中のネット接続は便利だ、それに美しいエンターテインメントの画面もあって10時間近いフライトでも飽きたという感じがしない。
スイスにハイキングに行ったがカナディアンロッキーのようにストレートな印象ではない、欧州という懐深い文化風土から受ける厚みが印象の中心にある。A380の帰りの旅も、欧州とアラブとそれに中国の今を感じて、それなりに心に残るものを与えてくれた。もうこんな風な旅は出来ないかもしれない、でも旅はやめられない気がしている。
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